プライベート・ライアンのレビュー・感想・評価
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ことばにならないです
感動したと言う人や、アメリカのプロパガンダだと言う人や、ミッションの不自然さを指摘する人や、たくさんの意見があってどれもなるほどと思う。
でもそれを考え始めても、有無を言わせない爆撃でどこにも進めなくなってしまう。それが戦争なんだと、人らしく思考することを全て奪うことが戦争なんだと、呆然とさせるためにスピルバーグはこの映画を撮ったんじゃないかと思う。
わたしにはドイツがクソだとも、アメリカが人情味があるとも見えなかった。等しく無力だった。
何度みたかわからないけど、午前10時の映画祭で久しぶりにスクリーンで鑑賞。
感想とかない、言葉を失ってしまう。
プラトーンも、ダンケルクも、スターリングラードも、目に見えるストーリーのあっち側に、見なければならないものがあるんじゃないかな。
アメリカの「正義」が崩壊した今、改めて観ると封切り当時の印象が大きく変わる。
星条旗で始まり星条旗で終わる映画である。
1998年の公開。1978年の「ディア・ハンター」、1979年の「地獄の黙示録」以降、戦場を舞台とする映画はベトナム戦争ものとなる傾向が強くなっていた。ところがこの年、第二次世界大戦を取り上げた本作と「シン・レッド・ライン」が相次いて公開され、何故今頃になってと思った記憶がある。これはもちろん映画の企画時にノルマンディー上陸から50周年という節目があったから。そこで冒頭近くオマハビーチの戦闘シーンが長々と続く。これがかってないほど「リアル」であるというのが当時の売りだった。そして、ライアン二等兵を探しに行くというテーマがそもそもそうであるように、戦場に人間性を見出すドラマとしての位置づけも高く評価された。
でも果たしてそうなのか?この映画はよく知られているように1962年の「史上最大の作戦」を換骨奪胎した作品である。オマハビーチ、敵陣に降下した空挺師団、橋の奪い合いなどはいずれも「史上最大の作戦」そっくりそのまま。これらの場所をトム・ハンクス演じるミラー大尉が部下を引き連れて地獄旅を続けるという趣向。でもヒューマニズムを表現したい、もしくは反戦・非戦を訴えたいと言うことであれば、あれ程の残酷なシーンが必要なのか?「史上最大の作戦」レベルで十分ではないか?要するに見世物として迫力があればあるほど興行収入を稼げるでしょということでしかないのでは?
もう一つ、スピルバーグが表現したかったこと、それはアメリカの正義である。そもそもヨーロッパの解放というものは、アメリカが神に代わってファシズムを成敗するというニュアンスである。
ユダヤにルーツがあるスピルバーグはそこをどうしても戦争から50年以上過ぎた時点で世界に思い起こさせたかったのに違いない。さらに彼が付け加えたのは家族愛や任務の貫徹といったアメリカ人の大切にしている倫理観。これらが例によってトム・ハンクスのどうにもくさい芝居で描かれる。
さて1998年というのはバックス・アメリカーナのほぼ最後の時期にあたる。この2年後に多発テロが発生し、続いてアメリカは大義のない中東での戦争を引き起こしていく。経済的な支配は続いているが、これは世界的な富の不平等に結びついている。また家族愛も、エゴイズムやレイシズム、非科学的宗教観などと強く結びついていることが分かってきている。
つまり今となっては、この映画はもはや素直には受け取れなくなっていているのが正直な印象である。「シビル・ウォー」の後で観たりすると特にね。
戦争映画が苦手なのでずっと避けてた作品。ついに劇場で観た。何という...
ライアンを救ったことが、このクソ戦争の唯一の誇りだ(ホーヴァス軍曹)
午前十時の映画祭14にて。
今も多くの映画ファンが戦争映画ジャンルのベスト・ワンにあげる、エポックを画した傑作。
ロードショー鑑賞時には、この臨場感に驚き、戦場では〝弾〟が飛んでくるのだと、当たり前の事を認識したのだった。
スピルバーグがロバート・キャパの戦場写真を参考にしたというのは有名な話。
キャパは戦場カメラマンとしてノルマンディー上陸作戦に同行し、多くの写真を残している。
戦争ドキュメンタリーのように描きたかったと、スピルバーグは当時語っていた。
この作品が後の戦争映画に技術的にもポリシー的にも大きく影響を与えたことは、言うまでもない。
「ママ、ママ」と泣き叫ぶ瀕死の負傷兵。
戦闘が終息したオマハ・ビーチに打ち寄せる血の波。
死んだ兵士がしたためた家族への手紙は生存兵に受け渡されていく。
今現在起きている戦争では、爆撃を受けた町の住民がスマートフォンで撮影した映像が世界中に流れる。我々は人のすぐ近くで爆弾が爆発する光景を目の当たりにする。
報道のカメラが見たものも短時間で配信される。血にまみれた子供たちの姿に戦慄しない人がいるだろうか。
兵士の体に装着されたカメラの映像が公開され、銃を人に向ける目線で戦場を見させられたりもするのだ。
わざわざ映画で見なくても戦争の残虐性は伝わる時代だ。
そんな時代においても、スピルバーグが訴えようとした人の命の尊さは、色・形を変えて世に問われ続けなければならない。
紛れもなく、戦争は〝殺し合い〟なのだと。
アメリカ国防省の「ソウル・サバイバー・ポリシー (生存者のための特別分離政策)」という指令は軍の規則になっていて、実際に兄弟が戦死したために帰還命令が出され除隊した兵士は何人もいるらしい。
この映画では、戦死した兄弟の残された最後の一人は生死も所在もつかめていないため、そのライアン二等兵(マット・デイモン)を探して連れ戻すというミッションがミラー大尉(トム・ハンクス)に下される。急遽組成された8名の中隊がたった一人の二等兵救出に命を懸けることになる。
物語の根幹であるこの作戦の他にも、大小のパラドックスが散りばめられている。
例えば、指令遂行を第一とするなら迂回すべき敵の砲台を、後続の味方部隊のために破壊しようとして隊員を失ってしまう。
例えば、降伏した敵兵を殺さず放免した指揮官が、後に自軍に戻ったその敵兵に撃たれてしまう。重ねて、その敵兵の銃殺を止めた男が、再び降伏したその敵兵を撃ち殺す。
つまり、ライアン救出指令のパラドックスをどう受け止めるかは重要ではない気がする。
戦争そのものが矛盾の上に成り立っているのだから。
戦場が人に狂気をもたらすことは、いくつかの名作が語っている。しかし、本作の登場人物たちはみな正常に思考しているのだ。
降伏したドイツ兵を銃殺しようとする兵士も、中隊長の指示に反発する部下に銃を向ける軍曹も、民間人の子供に自分の兄弟を重ねて助けようとする兵士も、それをやめさせようとする隊員たちも、誰もが戦場の、戦争の矛盾の中で思考し、行動している。
そして、神経と肉体を削っていくのだ。
改めてこの映画を観て、印象に残った場面が2つある。
1つ目:
ライアンの母親が3人の息子の戦死の知らせを受ける場面。母親は訪れたのが軍の幹部だと分かっただけで用件を聞く前にその場に崩折れてしまう。その後姿を家の中から逆光で捉えた胸に迫るシーンだ。
台詞がないというだけでなく、母親が用件を聞かずとも何の知らせかを理解する戦時下の極限状態を表現している。
2つ目:
人違いで別のライアン二等兵が兄弟の死を告げられる場面。人違いだと分かっても、小学生の弟たちが無事なのかが急に心配になって帰りたいとその兵士は泣き出すのだ。
ミラー大尉が彼に余計な心配事を背負わせてしまった、不条理で切ないシーンだ。
映画の最後に、年老いたライアン二等兵がミラー大尉の墓地の前で、自分の人生は良いものだったか、自分は正しく生きたか、と問う。
何人もの兵士の命を背負って、彼は戦後を生きてきたのだ。
私の記憶が確かなら……………
この映画公開の時期(?)に、ロバート・キャパの写真展が全国(?)を巡回したと思う。
私は地元の千葉そごうの催事場で鑑賞した(たしか)。
そこで、あのオマハ・ビーチを撮った何枚もの写真に、この映画のPRスチールと見紛うほどだと感じたのだった。
かなり本格的な戦争映画
午前10時の映画祭14での鑑賞。
冒頭のノルマンディー上陸作戦の描写は生々しくて本当にすごい。実際に戦争に行かれた方の評価が高いので、ほぼリアルに近いのであろう。そして本物の銃撃音を録音してだけあって銃撃音が非常も素晴らしい。
3時間はさすがに長いかな?と思っていたのですが、あっという間の3時間でした。
プライベート・ライアンのプライベートの意味が良くわかっていなくて、てっきりライアンの秘密の素性に関する映画なのかな?と思っていたら兵隊さんの意味だったんですね。
アメリカ陸軍参謀総長の命令と言えども何十万もいる兵士に中からなぜ彼だけ優遇されて帰国を許されたんですかね?そこがちょっと良くわからないところでした。
映像は圧巻
まるでその戦場にいるかのような臨場感。
音響効果も相まって迫力満点の映像はさすがスピルバーグ。
だがここまでの高評価に対しては正直疑問。
トム・ハンクスとマット・デイモンが居たから、最後まで見ることができた。
兄弟が亡くなったから、弟は母親のもとに帰れ?そう総司令部が指令を出した?米国ではそういう配慮が当たり前だったのか。戦争とはそういう残酷なものではないのか。
ラストの「無駄にするな、しっかり生きろ」は胸に響かなかった。それは前半から見ていて感じたことだ。
映画館で、しかもやっと初鑑賞出来たが、今の時代はこのような作品を3時間も見ることさえ辛い。
21世紀になっても人間は過ちを繰り返す。見るのが遅すぎたのかもしれない
戦場に引きずり込まれる3時間
初見は公開当時に観賞。
部活仲間と田舎の映画館に見に行った記憶。
苛烈極まりない冒頭のノルマンディー上陸作戦。
気づいたら売店で買ったフライドポテトを食べる手が止まったままだった。
戦争に行った4兄弟のなかで唯一生き残った末っ子を帰国させるべく、米軍トップから「ライアン二等兵」を救出させる作戦を言い渡されるトム・ハンクス率いる少数精鋭のチーム。
甘ったるいおとぎ噺のような設定という世評もあったようだけど、徹底したリアリズムでヨーロッパ戦線を描いたスピルバーグは観客に二度と忘れることができない戦場を刻みつける。
3時間近い上映時間があっという間だった。
友人たちと「あんな所行きたくないわぁ」「衛生兵~」「狙撃のジャクソンかっこよかったなぁ」「衛生兵~」「アパム、お前もか」とさっきまで観ていた地獄絵図を振り返りながら映画館をあとにした。
シリアス
昔小学生の頃よく遊びに行く友人宅にライフと言うアメリカの雑誌があり報道写真(当時はベトナム戦争)はこの映画さながらでショックを受け初リリース時にはプライベートライアンは怖くて観に行けませんでした。今回歳を経て、又スピルバーグので未だ見てないから行き又ショックですが今現在ウクライナや中東は戦闘の最中、決して目を反らしてはいけないと思い行って良かったです。
それとは別にトムハンクス、マットデイモンや友人のベンアフレックの若き頃がアメリカ映画を長く見て来たので懐かしかったです。エンドでミラー大尉は瀕死から生還するのかと?期待は裏切られていつもと違うアメリカ映画だわと思いつつ主役はライアンだから?と少しquestionでした。
しかしながら、いつ見てもスピルバーグはone of the great directors!
冒頭のオマハ・ビーチ上陸シーンは、1500人のエキストラを動員し、...
「ナイスデイズ」じゃないが
冒頭にクライマックス
やっぱりスピルバーグ、やっぱりアメリカ
スピルバーグ...
リアルな表現
正直に言って、あまりにもリアルな表現が多すぎて、内容がよくわかりませんでした。
今度気が向いたら、家で見てみます。
ただ、この内容が過去と現在に起きてることなので、拡散という目的で星5にしました。
是非映画館で観て下さい‼︎
スピルバーグ作品で何番目かに良い作品。紛れもなく名作の1つである。何回も観たしBDも持っているからたまに観たくなる時もある。戦争の悲惨さや壮絶さが描かれている。描写が限りなく写実的になっているのでかなりグロい映像もある事から苦手な方は観るのを控えた方が良いかも…しかし「野火」の塚本監督が仰っていたように映像のトラウマは経験するべきとのコメントを思い出す。決して戦争を称賛する映画では無く戦争のもつ現実を我々に突き付ける作品。
若いマットデイモンが出演しているのとトムハンクスの演技が素晴らしい。また各地で土を集めている軍曹役のトムサイズモアの演技も良い。この映画も絶対映画館で観るべき作品であると言える。今週末から「午前十時の映画祭14」でも上映されるので若い映画ファンに是非映画館で観てもらいたい作品です‼︎ 良い機会ですのでわたくしも映画館に観に行く予定です‼︎
基本的に同じ作品をあまり見ないボクが再鑑賞。ノルマンディー上陸作戦...
戦争映画を英雄譚や綺麗事に終わらせない
今回初めて観たのが出先でiPadだった。映画館で見たらもっと迫力あって良かっただろう、と言いたいところだけど‥。
おそらく膨大な資料や証言に基づいた原作や脚本からくる残しておきたい兵士の経験記憶が此処に有る。iPadだとそちらに心が奪われた。いわゆる戦争映画として消化し評価するにはもったいない出来。ピーター・ジャクソンの”彼らは生きていた”に通じる知るべき映画。
音響/迫力は映画産業の為に必要だし兵士の経験の一部でもある。次は是非IMAXで観たい。
爺さんは軍属で徴用されていた(病気で復員、すぐに亡くなった)ので長男だったうちの親は前線に回されなかったと言ってた。今となっては真偽を知る術もないけど日本でもおんなじ様な運用があったんでしょうね。
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