「戦時における人の命の重さとは?」プライベート・ライアン ノブさんの映画レビュー(感想・評価)
戦時における人の命の重さとは?
映画ファンなのに今までなぜこの映画を見たことがなかったのか?
①トム・ハンクスがそんなに得意ではなかったから。
②スピルバーグの映画は優等生だから。
そして今回午前十時の映画祭で見る機会を得たにもかかわらず最終日になってようやく重い腰をあげてテレビ、劇場を通じて初めてこの「プライベート・ライアン」を鑑賞してきました。
そして、この映画のパワーに圧倒されました。
冒頭のノルマンディー上陸の激戦はすさまじいものがありました。
アメリカ兵の上陸を必死に阻止しようとするドイツ軍の砲弾、銃弾が次々とアメリカ兵を殺傷していく。
ここの描写がエグイです。手足が吹っ飛んだり内臓が飛び出たり海が血で赤く染まったり。戦争の凄惨さが怖いくらいに伝わってきます。
こんな狙い撃ちされる中、突撃していくなんてもはや死にに行くようなものです。
多くの犠牲者を出して上陸した中、トム・ハンクス演じるミラー大尉は上層部から戦争で兄3人が亡くなったライアン二等兵を救出し本国へ搬送せよというミッションを受け精鋭7名を引き連れて部隊を離脱するのだが…。
ライアン二等兵を救出せよという命令に何人もの犠牲者がでることに対し、所詮戦時中の人の命なんて国家からするといかに軽いものか痛感させられます。
国家にとって都合の良い命は守りそれ以外は駒に過ぎないのだということを。
ようやくライアン二等兵を見つけ出したが(マット・デイモンだったので驚きました)、彼は残って仲間と共に橋を守るために戦うという選択をする。
ミラー大尉は迷います。彼を残して引き上げるか、一緒に戦って共に帰国するか。
そして右腕であるトム・サイズモア演じる軍曹に言われます。
「いつか振り返った時、この糞みたいな戦争でライアンを救ったことが唯一誇れることだ」と。そして共に戦う決断を下す。
途中、仲間同士の対立があったり、ミラー大尉が教師であったことなどそれぞれのキャラが立ってきてからの最後の戦闘シーンなので、冒頭シーンとはまた違ったハラハラ感もあり、そして絶体絶命となったミラー大尉が向かってくる戦車に拳銃で虚しく発砲し続けるそのとき、ようやく援軍が到着し形勢逆転するなか、まさかのラストシーンでした(泣)
そしてようやく映画の冒頭で墓参りに来ていた人物が誰だかわかるというにくい演出で締めくくる。
いや、見応えのある大作でした。危うく見逃しかけましたが、この作品は見ておくべき価値ある映画でした。