「フーバー!」プライベート・ライアン kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
フーバー!
この作品が本当に反戦映画か?という議論があった。それはある意味正しく、ある意味正しくない。ストーリーの展開でライアン(マット・デイモン)を見つけてから“橋を守る”ということが中心となってしまい、単なるアメリカ万歳の戦記モノに成り下がってる雰囲気があるからだ。トム・ハンクスやエドワード・バーンズ、そしてマット・デイモンの視点で見てしまうと、どうしてもそう感じる。
ところが、実戦経験がないのにドイツ語・フランス語が話せるというアプム(ジェレミー・デイヴィス)の視点に立つと、戦争の恐怖、嫌悪感がグサリと突き刺さってくるのだ。捕虜に対する扱いにおいて、ともかく「違法だ」と他の復讐に燃える兵を戒める姿。なぜだか印象に残ってしまう。そして、最後に彼がとった行動・・・降伏したドイツ兵が「アプム」と叫ぶ。そしてその彼を撃ってしまう・・・途中の廃レーダー基地で逃がしてしまったドイツ兵だ。
さらに映像・音響面、冒頭のオマハビーチではとにかくアッという間に味方が殺されていく様子。阿鼻叫喚という言葉がピタリとくる残虐な戦争。これが戦争なんだよと訴えてくる映像には反戦意志そのものがあるんだけど・・・
ヴィン・ディーゼルとかポール・ジアマッティとかいい味だしてたし、上陸作戦では顔すらわからなかったけど、それぞれの人物像などがわかりやすい。それが救出作戦というヒューマニズムに繋がってしまうのは残念。ライアンは無情にも死んだほうがいいはず。プロローグとエピローグで登場する老人がアプムであることを祈ったのに・・・
共感ありがとうございます。
老人がアパムだった方が罪の意識が際立ったでしょうね。
ライアンに一人生き残った罪悪感を背負わせるのはちょっと気の毒と思います。今思い出しましたが邦画ローレライも何かそんな感じのラストでした。