「人生を全うしろ」プライベート・ライアン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
人生を全うしろ
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思い出しレビュー17本目。
『プライベート・ライアン』
ハリウッドの戦争映画を変えたと言っても過言ではないスピルバーグの戦争大作。
それまでのハリウッドの戦争映画は、アメリカ万歳!敵国を倒せ!…なイメージだった。それが、兵士のドラマに焦点が当てられるようになった。
何より多大な影響与えたのは、ドキュメンタリーのようなリアルな描写。迫真の映像、音響、編集…。冒頭のノルマンディー上陸作戦シーンは永遠に語り継がれるだろう。
見過ごされがちだが、本作はヒューマン・ドラマとして非常に見応えあるものになっている。
ライアン二等兵を見つけ出し、家族の元に送り還せ。その任を命じられた兵士たち。
不条理だ。彼らにだって家族がおり、帰還を待っている。事情はあるにせよ、何故ライアンだけ…?
ミラー大尉の言葉に打たれた。
ライアンなんて奴は知らない。だが、そいつを見つけ出して家族の元に送り還す。それが俺の任務だ。
ライアンを見つけ出す事に成功。
が、ミラーは犠牲になる。
あまりにも残酷だ。自分は助かるのに、自分を助けに来てくれた人が死ぬなんて…。
息絶える直前、ミラーはライアンに遺言を残す。
人生を全うしろ。
長い歳月が経ち…
老境となったライアンはミラーの墓の前に立つ。
問い掛ける。
自分は人生を全う出来たのか…?
それをどういう基準で言うのか分からない。が、
傍らには妻が居て、子供も孫も居るだろう。
平凡だが、幸せな人生を送ってきたに違いない。
彼は人生を全うした。
戦死者たちの為にも。
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