「なぜ一人でさまよっているのか」冬の旅 くーさんの映画レビュー(感想・評価)
なぜ一人でさまよっているのか
モナが亡くなる前、寒さに震えながら「お母さん…」とつぶやいてたこともあり、彼女がどうして「キャンプ」に出たのか、想像させてくれる描写でいいからほしかった。
こんな生き方をしたからあんな風に死ぬハメになりました、ではかなしい。
教授や畑仕事を世話してくれたモロッコ人など、臭くて我を通すとっつきにくいモナになぜか好意的な人も少数ながらいるのに対し、
教授の助手など徹底的に嫌う人、
羊飼いのように関わった結果軽蔑する人、
ヨランダのように嫌いになりきれず距離を置く人、がいて、
人間は2割に好かれ2割に嫌われ6割には何とも思われないという話を思い出した。
主人公の状況の類似からinto the wildを挙げる人もいるが、
あちらは目指すものが明確でそのために努力もしているのに対し、
モナは「楽したい」というのは一貫しているし、他人に媚びもしないものの、何を目指しているのか全く見えず、表現されたものだけから読み取ることもできず、
消化不良がある。
モナを語る人の中に「自由」で羨ましいと語る人もいたが、カチカチのパンをかじり、行きずりで関係を持ったり襲われたり、寒さに震えたり、
モナはひとつの場所にいないだけで、どこに行ってもいい反面、居場所がないということでもあるし、
モナは自由だ、とは描かれていなかったと思う。
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