ふたりの女(1960)のレビュー・感想・評価
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戦時下の悲劇
第二次世界大戦中のイタリアが舞台。
ローマで食料品屋を営むチェジラ(ソフィア・ローレン)。大空襲で娘ロゼッタ(エレオノーラ・ブラウン)と共に田舎へ疎開。そこで、一人の青年ミケーレ(ジャン=ポール・ベルモンド)に出会い、何かと二人はミケーレに気を配ってもらっていた。ロゼッタはミケーレに想いを寄せるようになる。戦争も終わろうとする頃、ミケーレはドイツ兵の案内人として拉致されてしまう。チェジラとロゼッタはローマへ帰ろうとするが、モロッコ兵たちにより性暴力に遭い・・・。
1960年製作なので、戦後それほど経ってない時に作られた反戦映画なのでインパクトあります。主演のソフィア・ローレンが美しくも逞しい母親を堂々と演じています。娘のロゼッタは母親とは全くタイプの違うあどけない少女でミケーレを慕い、ミケーレもロゼッタを可愛がるのですが、ミケーレは母のチェジラを愛していると告白します。インテリ青年ミケーレ演じるジャン=ポール・ベルモンドがソフィア・ローレンに覆い被さるところ(空襲の時)が印象的。ひょろっとした青年と熟女のキスシーン、何だかドキドキしてしまいました。ジャン=ポール・ベルモンドはアクの強い女性を引き立てる役どころですが、『雨のしのび逢い』でも、ジャンヌ・モローに想いを寄せる地味な労働者を演じていました。それにしても、ジャン=ポール・ベルモンドはイタリア語も堪能なんですね。
後半は一気に深刻さが増し、モロッコ兵たちに囲まれたあたりから悲惨な結末へと展開します。ミケーレがドイツ兵に撃たれて死んでしまったことを知らされたチェジラ。母からそれを聞いたロゼッタは一気に泣き出します。母娘は過酷な運命を迎えてしまいます。
観ていて辛い映画でしたが、観てよかったです。
ソフィア・ローレンの存在感すごいです。カンヌで最優秀女優演技賞獲得は当然でしょう。ロゼッタを演じた少女も乙女から大人の女性へと変貌していくところを上手く演じてました。そして、理想主義者の青年ジャン=ポール・ベルモンドもよかった!
ソフィアローレンの魅力全開
そして かわいそうな映画だった
あの戦争の時 こういう目にあった人が世界中に 星の数ほどいただろうな。そして それは人類の歴史だ。 神よ このドアホな生き物を救いたまえ・・ って言いたくなるね
イタリア人というのはあの当時 あんなにみすばらしい住居に住んでいたなんて知らなかったな。つららができるような寒いところで 隙間風 吐いちゃってあんな薄い服に薄い毛布で眠れるのか?!なんて頑丈な人々なんだと思った
原題直訳は「チョチャーラの女」
古い映画であるが AI 修復によって見事に美しく見えた
タイトルなし(ネタバレ)
我が亡父が好きだった映画。僕は初見だと思う。
連合軍の愚行が宗教と人種の偏見を生むので、大変に遺憾なストーリーになっている。このイメージを大日本帝国の当局は日本国民に受け付けた。従って、とんでもないお話になるわけだが、テーマは別な所にあると思う事にした。
つまり、『母親と娘の関係』と題名通り『二人の女』の関係で見てみた。その対比が演技も演出も素晴らしいと思う。言うまでもないが、自分の傷よりも男の死を悲しむ娘。その姿を見て母は一人の女として娘を見るのである。でも、溺愛する態度は同じ。だがしかし、それまでの子供をアヤス様な体裁は欠片も無い。二人の女性の愛に代わっている。
こうやって強く生きるべきなのだ。母娘終末旅行だが生きる事を選ぶ。
『映画の前半の空爆』と『後半の空爆』が全く違う事に気づくべきだ。その中を平然と逃げ、その途中で平和が訪れたはずの教会で、人生最大の災難が降りかかる。しかし、それすら、乗り越えて生きて行く。
教会での愚公は、異教徒でなければおかせない罪として、僕はこの作品を傑作としたい。
戦争の悲劇ではない。敵に傷つけられたわけではないのだから『火垂るの墓』等と同じ類の映画である。
デ・シーカの演出とS・ローレンの演技!
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