ふたりの女(1960)のレビュー・感想・評価
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戦争が踏みにじる純朴なもの
ヴィットリオ・デ・シーカ監督 1960/イタリア
ソフィア・ローレンの、美しさと迫力のある演技がよい。田舎の田園風景の中で逞しく映し出される彼女は、また一段と魅力的で、果実のように豊かで伸びやかな美しさは、自然の恵みだなぁと思わせられる。
題名の「ふたりの女」に違和感を感じたので、ちょっと調べてみた。原題はイタリアの地方名のようだ。ストンときた。12歳の純朴な少女は、安易に「女」と呼びたくないし、田舎の村で暮らす純朴な人びとはこの映画の大きな魅力だと思うからだ。
(ジャン・ポール・ベルモンドも、ばっちりハマり役で、素朴なよい味だ)
観ていて面白かったのは、ドイツ兵が疎まれ、米兵が歓迎されていたこと。当たり前だが、それぞれのお国事情だ。
ありがちなストーリーなのは少し残念だが、人間らしい幸福を得ようとするささやかな営みが、戦争や国家体制のせいで、虫けらのように無残に踏みつけられていく、その無念さはよく伝わる。チェジーラの美しさや村人たちの純朴さが対比的に浮かび上がる。
戦時下の悲劇
第二次世界大戦中のイタリアが舞台。
ローマで食料品屋を営むチェジラ(ソフィア・ローレン)。大空襲で娘ロゼッタ(エレオノーラ・ブラウン)と共に田舎へ疎開。そこで、一人の青年ミケーレ(ジャン=ポール・ベルモンド)に出会い、何かと二人はミケーレに気を配ってもらっていた。ロゼッタはミケーレに想いを寄せるようになる。戦争も終わろうとする頃、ミケーレはドイツ兵の案内人として拉致されてしまう。チェジラとロゼッタはローマへ帰ろうとするが、モロッコ兵たちにより性暴力に遭い・・・。
1960年製作なので、戦後それほど経ってない時に作られた反戦映画なのでインパクトあります。主演のソフィア・ローレンが美しくも逞しい母親を堂々と演じています。娘のロゼッタは母親とは全くタイプの違うあどけない少女でミケーレを慕い、ミケーレもロゼッタを可愛がるのですが、ミケーレは母のチェジラを愛していると告白します。インテリ青年ミケーレ演じるジャン=ポール・ベルモンドがソフィア・ローレンに覆い被さるところ(空襲の時)が印象的。ひょろっとした青年と熟女のキスシーン、何だかドキドキしてしまいました。ジャン=ポール・ベルモンドはアクの強い女性を引き立てる役どころですが、『雨のしのび逢い』でも、ジャンヌ・モローに想いを寄せる地味な労働者を演じていました。それにしても、ジャン=ポール・ベルモンドはイタリア語も堪能なんですね。
後半は一気に深刻さが増し、モロッコ兵たちに囲まれたあたりから悲惨な結末へと展開します。ミケーレがドイツ兵に撃たれて死んでしまったことを知らされたチェジラ。母からそれを聞いたロゼッタは一気に泣き出します。母娘は過酷な運命を迎えてしまいます。
観ていて辛い映画でしたが、観てよかったです。
ソフィア・ローレンの存在感すごいです。カンヌで最優秀女優演技賞獲得は当然でしょう。ロゼッタを演じた少女も乙女から大人の女性へと変貌していくところを上手く演じてました。そして、理想主義者の青年ジャン=ポール・ベルモンドもよかった!
ソフィアローレンの魅力全開
そして かわいそうな映画だった
あの戦争の時 こういう目にあった人が世界中に 星の数ほどいただろうな。そして それは人類の歴史だ。 神よ このドアホな生き物を救いたまえ・・ って言いたくなるね
イタリア人というのはあの当時 あんなにみすばらしい住居に住んでいたなんて知らなかったな。つららができるような寒いところで 隙間風 吐いちゃってあんな薄い服に薄い毛布で眠れるのか?!なんて頑丈な人々なんだと思った
原題直訳は「チョチャーラの女」
古い映画であるが AI 修復によって見事に美しく見えた
デ・シーカの演出とS・ローレンの演技!
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