深く静かに潜航せよのレビュー・感想・評価
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潜水艦モノとしては異色の一本。
本懐とする第七海域(豊後水道)にまで進出し、味方艦船を多く沈めてきた日本軍潜水艦は、平底船の船底をかすめて雷撃するという「奇手」が功を奏して仕留めることができたもの、宿敵である駆逐艦「アキカゼ」を仕留めることはできなかった…。
課題を残したまま終局を迎えるという設定もそうですし、海上での決戦で敵艦船を仕留めるというのは、評論子としても、そんなに本数を観ている訳ではありませんが、潜水艦モノとしては、あまり例がないのではないでしょうか。
潜水艦モノといえば、いわゆる「サイレントキラー」として水中での必殺の魚雷戦で敵艦船を間違いなく沈めるというのが「お約束」だったように思います。
また、ほとんど結末に至ってからとはいえ、潜水艦モノとしては、作戦行動中に英雄(艦長)か戦死するというパターンも、珍しいのかなぁと思いました。
そういうことでは、やや「異色」の一本と言えたと思います。評論子には。
潜水艦映画好きなら必ず観ておくべき映画です!
素晴らしい!
潜水艦ものに外れなし、その中でも傑作中の傑作です
もっと有名であるべき作品です
潜水艦映画の草分けにして金字塔の「眼下の敵」は1957年のクリスマスの公開
本作は翌1958年3月の公開です
「眼下の敵」では、潜水艦は敵はドイツ海軍のUボートでした
なので潜水艦と駆逐艦のお話が半分づつでした
それが本作では、ほとんど米海軍の潜水艦側だけの物語となり、舞台は日本近海、時は1942年から始まります
つまり敵は日本海軍なのです
九州と四国の間の豊後水道が決戦の地です
日本海軍が瀬戸内海の呉の根拠地から太平洋方面に出撃する為にはどうしても通る航路です
ですから日本側も米海軍が怖れる潜水艦狩りの猛者、駆逐艦秋月の艦長通称豊後ピートにそこを守備させているのです
なにしろ過去4隻もの米海軍の潜水艦がそこで豊後ピートにやられているのです
主人公の艦長もそこでやられて自分の艦と部下を失った一人です
救助され今はハワイの基地でデスクワークの日々から物語が始まります
決戦は1943年7月下旬から8月位と思われます
駆逐艦秋月とのまるで西部劇の決闘のような戦いが、その豊後水道で繰り広げられます
駆逐艦秋月は実在しますが、その時期はソロモン海方面で活動していますので実在の秋月とは関係はありません
秋月の艦長以下乗組員は日系二世の俳優のようです
日本語の台詞の発音は微妙ですが、台詞の内容はおかしくないもので、表情、立ち振る舞いは日本人にちゃんと見えます
軍服、小道具もデタラメなものではないようです
秋月との戦いの前にも、太平洋上で遭遇した他の駆逐艦との戦い
そして秋月との対決の後には、日本海軍の誇るイ号潜水艦との潜水艦同士の水中対決もあります
やられるのは日本の輸送船であったり駆逐艦であるのでちょっと複雑ではあります
しかし日本側もプロフェッショナルな強敵として描かれており、簡単にやらるようなマヌケとしてでは有りませんので、そこは満足できます
ただ艦砲はあの距離で外すわけがないとは思いますが、そこは映画です
戦闘シーンの特撮も素晴らしい!
もちろん潜水艦映画のお約束の艦長と副長との対立も描かれます
というか艦長への叛乱だけなら、古くは「戦艦バウンティ号の叛乱」、1954年の有名な「ケイン号の叛乱」がありますが、潜水艦でのそれの最初は本作ではないかと思われます
本作のタイトルの「深く、静かに潜航」という言葉は、何かの潜水艦映画でも使われていました
確か「レッドオクトーバーを追え」だったように思います
つまり潜水艦映画の古典としてリスペクトされている映画だということです
潜水艦映画好きなら必ず観ておくべき映画です!
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