「いい映画でした。」フォレスト・ガンプ 一期一会 itstarさんの映画レビュー(感想・評価)
いい映画でした。
フォレストガンプを見ると、その生き方や性格が羨ましく思える。あれほどにまっすぐで、人に対して誠実な人間に、私はなれないと思う。フォレストガンプの身には、冷静に考えるとかなり悲劇的なことが立て続けに起こる。しかし、映画を見ている限りでは、それほど悲劇を感じない。それは、フォレストガンプの人に対する優しさからきているのだと思う。フォレストガンプは、嫉妬や人を見下すこと、人よりも優位に立とうとかを一切していない。あくまでも、フォレストガンプの行動基準は、ジェニーであり、ダン小隊長であり、ババであり、母なのだ。自分の利益を考えて行動する場面は一つもなかった。だからこそ、悲劇になっていないのだと思う。どれだけフォレストガンプの身に、客観的にみると辛いことが起きたとしても、ガンプ自身は自分の身に降りかかった悲劇に対して、自身を哀れんだりしていない。
フォレストガンプでは、ガンプとジェニーの対照が目立つ。ガンプはその時代の光であり、一方のジェニーは闇である。ガンプは、知能が遅れているが、ちゃんと自分の価値観に沿って生きている。ジェニーは時代に流されて生きている。本来、ジェニーの方が考える能力が高いはずなのに、時代に、周りの人間に流されて生きている。ガンプは、周りの空気に流されることなく、自分にとって大切なことをいつも分かっていて、そこに向かってまっすぐに生きていく。ガンプにとって大切なことは、自分のすぐそばにいる人たちだった。ジェニーにとって大切なことは、一体何だったのだろう?ジェニーは一体何を指針にして、人生を生きたのだろうか?父親から逃げ続け、そのうちに、自分の人生からも逃げ続けてしまったように、私には見えた。幼いころ、父親から逃げたいと思っていた少女は、時が経つにつれて、一体どこに逃げればいいのか分からなくなり、いつしか、逃げることそのものが目的になってしまった。
ガンプはジェニーを愛していた。ジェニーに会えないときでも、ジェニーが離れていっても、ずっとジェニーの幸せを願っていた。ジェニーに与えることはあっても、ジェニーに求めることはなかった。ジェニーが他の男と付き合っていても、何も言わなかった。ガンプは、周りにいる人たちの幸せを願って、そのことだけを、自分の行動基準にしていた。
ガンプのように生きたいと思うが、私は人に嫉妬してしまうし、人を見下すこともあるし、自分の能力を見せつけたいと思うこともあるし、自慢も沢山するし、頻繁に人と自分を比べてしまうし、自分のことしか考えていない場面も多々ある。けれど、この映画を見た後は、見る前と比べて、少しだけ人に優しくなれる気がする。まあ、この映画を見た、その日と次の日くらいまでしかその効果は続かないだろうけど。まあ、映画だし、そんなもんかなと思います。2時間ちょっとで人は変われないし。いい映画でした。