劇場公開日 2020年8月2日

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「自分の感じた心象風景を喜劇映画がした作品。」8 1/2 コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5自分の感じた心象風景を喜劇映画がした作品。

2023年8月10日
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鑑賞方法:VOD

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内容は、監督フェデリコ・フェリーニの映画創作の閉塞感から来た混乱に向き合う現代演劇に於ける人間の孤独を独自の心象風景を映像化したエンターテイメント作品。印象的な台詞『混乱こそ自分。人生は祭だ!』最後の大団円の場面での台詞。広げた大風呂敷をどうやって畳むのかと思っていたら、この台詞にカタルシスを感じました。印象的な場面では、オープニングの現代的な渋滞の車の中での圧倒的な閉塞感〜自由になった時に、監督としての創作活動の閉塞感へ、そして最後大団円の後の自身の起点となったサーカス🎪を一人寂しく去るエンディングは、映画監督としての業の深さと寂寥感の様な余韻が何とも監督らしく面白かったです。印象的な表現では、ハーレムからの転落と出演者全員集合の圧倒的なフィナーレが凄すぎました。個人的は『貴方の仕事は解答の無い問題を解く事』『君は自由だが選ぶ術を知れ、あまり時間がないから急げ』との台詞回しが良かったです。創作活動の混乱と自己満足が虚構を作る苦悩として描かれて好きです。個人的な監督の創作という作業を表現しているので、抽象的過ぎて分かりづらく困ったという人もいますが、自分としては、監督の心の中を覗き見る行為の中に混乱と苦悩と恥辱感と恍惚感の中に自分の経験を重ねたりする事が出来る素晴らしい映画だと感じました。最近見た映画『君たちはどう生きるか・宮﨑駿』が老年の自叙伝だとすれば、フェデリコ・フェリーニの中年の危機を表す自叙伝の的なものが感じられる作品でした。

コバヤシマル