「素晴らしかった」フィッシャー・キング 吉泉知彦さんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしかった
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公開時に映画館で見て、その前に見た『未来世紀ブラジル』『バロン』みたいなSFやファンタジーを期待していたせいか、すごく地味で退屈に感じた。それ以来、いまひとつのギリアム作品と思っており、今回もこれより他に上映すべき作品があるではないかと思い、スルーしようかとすらしていたのだけど、ギリアム作品がスクリーンで見られる機会も滅多にないことで、足を運んだところ、素晴らしい人間ドラマでハッピーエンドに大感動し涙が出るほどだ。劇場公開時に期待しすぎてハードルを上げたのと、現代ものの人間ドラマで、SFやファンタジー要素がなく物足りなかったことで、きちんと受け止めておらず、愚かだ。
恋人のアンが素晴らしくて、あんないい子になぜ結婚を申し込まないのだとジェフ・ブリッジスに腹立たしくなる。いくらロビン・ウィリアムスがナイスガイだとしてもホームレスだし、頭もおかしくて、そんな彼に好きな子との仲を取り持ったとしても成立せず自己満足ではないかと思う。しかも、その好きな子は相当なおっちょこちょいというか、発達障害みたいなタイプで、付き合いが深くなったらイライラしないだろうか。しかし、そんな負の側面を魅力として受け止めるロビン・ウィリアムスの心が素晴らしい。こっちの心配をよそに、彼女はロビン・ウィリアムスに魅力を感じて病院で看病する。そして、調子がよくなった途端、アンと距離を置きたがるジェフ・ブリッジスにイライラしたと思ったら、いろいろあって愛を告げる。そんなハッピーエンドに大感動で、心が満たされる。
ロビン・ウィリアムスが燃えている騎士の幻覚に怯えたり、挑んだりするのはギリアム作品に共通するテーマだ。
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