劇場公開日 1992年4月4日

「悔恨と贖罪と救済の聖杯記」フィッシャー・キング シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0悔恨と贖罪と救済の聖杯記

2023年3月5日
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強烈な悪夢のような映像が持ち味のテリー・ギリアム監督にしては、珍しくストレートなドラマでした。放送中の暴言がきっかけで乱射事件が起きてしまったショックで人生を見失ってしまったDJと、その事件で最愛の妻を失い、精神を病んでいるホームレスとの奇妙な友情と救済を描いた佳作です。痛烈な悔恨と自責の念に押し潰されそうなDJの苦悩をジェフ・ブリッジスが見事に演じていて、いきなり映画の世界に引き込まれます。そこに事件の犠牲者であるホームレスが登場することで、ストーリーは現実と幻覚を交えながら、贖罪とも友情からの善意とも思える奇妙な展開を見せますが、ロビン・ウィリアムスの目まぐるしい感情の変化と動きが圧倒的です。途中でややダレるところもあるけど、ギリアム監督らしからぬ粋でハッピーな幕切れが心地よいです。主演の二人は、まさに渾身の演技で間違いなく代表作と言えます。

シネマディクト