劇場公開日 1962年7月14日

「なぜだか妙に2021年の日本のおかれた状況にとてもリンクしている西部劇です」昼下がりの決斗 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0なぜだか妙に2021年の日本のおかれた状況にとてもリンクしている西部劇です

2021年11月10日
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鑑賞方法:DVD/BD

サム・ペキンパー監督の出世作
確かな力量を大いに感じます
クライマックスの2対3の決斗は語り草になる程の迫力
被弾上等でズンズンと相棒と肩を並べて敵に歩みよりつつのガンファイト!燃えます!
西部劇の決斗シーンは数あれど屈指の名シーンです

ガンファイトの効果音もこだわりを感じます
ヘックが敵から奪ったライフルで岩山の高い位置から射撃した時、狙った相手の足元の岩に外れて跳弾となる音は、ライフル弾の威力を感じる素晴らしい効果音でした

時代は自動車が現れ、西部劇の世界も終わりつつある頃
元保安官の男と、かっての相棒もいまは年寄りとなってしまっています
若い者にはまだまだ余裕で勝てる力を持っています
かといってこの先はもう心細い
なにやら老人ばかりになった日本の21世紀のようです

そしてヒロインの野に咲く花のエルザ
厳格な父との二人だけの山の暮らしから逃げ出したいその一心だけで、良く知りもしない顔だけはハンサムなビリーと結婚しようと山奥の貧乏人のならず者ばかりの金鉱に主人公一行と向かいます

しかし彼女のその甘い考えが大変な事態を引き起こしてしまいます
悲惨な結婚式から続く彼女の後悔と絶望と悲しみ
実に哀れでした
最終的には父親までもが悲運にさらされてしまうのです

なにやら祝福されない結婚をして日本から駆け落ち同然にアメリカに移住される元プリンセスのことを思いださずにはおれません
ただただ、元プリンセスのお幸せを祈るばかりです
このような不幸な境遇に陥ることのないことをひたすら念じます

このやうに、なぜだか妙に2021年の日本のおかれた状況にとてもリンクしている西部劇です
不思議なことです

あき240