「【”俺に何かあったら守ってくれるか。”と幼き娘を白人男性二人に凌辱された黒人は白人の弁護士に言った。”今作は愚かしき選別思想を持つ白人たちに対し、白人の若き弁護士が決然として対峙する法廷劇である。】」評決のとき NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”俺に何かあったら守ってくれるか。”と幼き娘を白人男性二人に凌辱された黒人は白人の弁護士に言った。”今作は愚かしき選別思想を持つ白人たちに対し、白人の若き弁護士が決然として対峙する法廷劇である。】
■アメリカ、黒人蔑視があるミシシッピー州が舞台である。
ある日、10歳の黒人少女、トーニャが買い物帰りに、愚かしき白人青年、ビリーとウイラードノ2人に暴行を受ける。
娘の無惨な姿に心を痛めた父、カール・リー(サミュエル・L・ジャクソン)は怒りを胸に裁判に出向き、容疑者2人を射殺する。
新米弁護士のジェイク(マシュー・マコノヒー)は、不利な状況のなかで彼の弁護を務めることになる。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・当時の”KKK”の姿を含め、近代までアメリカ南部で蔓延っていた黒人蔑視の思想が伺えるである。
ー 多分、それは今でも行われていると思う。-
・ジェイクが、カール・リーの弁護を受けた理由は、彼自身が幼き娘を持っていた事と、カール・リーが、犯行前に(彼は劇中に、妻に責められている。)彼に犯行を行う事を示唆していたのに、凶行を防げなかった事を悔いるからだと思う。
■今作の構成の巧みさは前半は、哀しき出来事が描かれ、後半はカール・リーの行いを裁く法廷劇の面白さに焦点を当てた事に尽きると思う。
ジェイクの元に駆け付けた法学部生でやや生意気なエレン・ロアーク(サンドラ・ブロック)や、ジェイクが師と仰ぐルシアン(ドナルド・サザーランド)の姿も嬉しい。
因みにKKKに加入する愚かしき若き男をキーファー・サザーランドが演じている所も味噌である。
■沁みるシーン幾つか。<可なり沢山あるので、厳選して。>
・カール・リーが愚かしき二人の若き白人を撃ち殺した際に、跳弾により足を失ったルーニー補佐官(クリス・クーパー)が、法廷で杖を付きながら証言するシーン。
”私にも娘がいる。彼は無実だ。釈放を!”と叫ぶシーン。
彼の善性には、涙が出る。
・ジェイクが、法廷で幼き哀しきトーニャが愚かしき二人の若き白人に受けた真実を涙を流しながら話すシーン。
ー それまで、カール・リーを死刑にしようと思っていた白き陪審員や、裁判長が黙り込んでしまう姿。
ジェイクを演じた若き、マシュー・マコノヒーの名演が冴えわたるシーンである。-
<今作は、今でもアメリカだけではなく全世界に蔓延る人種差別の問題に果敢に切り込んだ作品である。
沁みるシーンは多数あるが、今でも続く全世界に蔓延るあらゆる差別に一石を投じた作品であると思う作品でもある。>
■追記
今作では、今や米国を代表とする、マシュー・マコノヒーを筆頭にした俳優が多数出演している。
だが、一人の名優と称された俳優は、今やその行いにより映画界を追放されている。彼の俳優が演じた役と、その方がその後に辿った哀しき人生もふと思ってしまった作品でもある。