「ひまわりと戦争と諦念。ジョバンナの情熱と潔さ。」ひまわり(1970) あまおとさんの映画レビュー(感想・評価)
ひまわりと戦争と諦念。ジョバンナの情熱と潔さ。
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ビットリオ・デ・シーカ監督 1970/伊
初っ端のテーマソングとひまわりの映像だけでも、この映画を観る価値があった。青空と無数のひまわり。不思議な空気。透明感。
揺れるひまわりは亡くなった兵士たちの魂か。それとも、兵士たちに、「もう辛いことは終わったよ、ほら、空もひまわりもすごく綺麗だよ?」と、語りかけているのか…。
作品を観終わると「諦念」という言葉が浮かんできた。夢を、愛を、命を、諦める時。
アントニオを探すジョバンナ、連絡をしなかったアントニオ。切ないが2人はすでに違う道の上。アントニオの立場も理解できる。
ロシア妻が優しくて可愛い。アントニオが彼女を捨てなくてよかった。人間の選択の追求にはキリがない。ときには諦めも必要なのだろう。
ジョバンナは、がさつなようだが、選んだ夫への愛情や直感を信じる情熱が素晴らしい。断ち切る潔さもカッコいい。
ストーリーはありがちだ。切なさは共感できるものの、時代を考えると二人の苦しみは贅沢、という感じがしなくもない。
しかし、主題曲とひまわり、戦争をめぐる苦しい事情、ソフィア・ローレン扮するジョバンナの個性など、心に残る。
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