劇場公開日 2023年7月28日

「激しさと無情感」ひまわり(1970) Bluetom2020さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0激しさと無情感

2024年6月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

誰もが認める名画にようやく巡り合えた。名画座で何度もリバイバル上映があったが、おそらくメロドラマ仕立てのストーリーとソフィア・ローレンの喜怒哀楽の激しい演技が眩しすぎて、当時の自分は遠慮したのだと思う。
わかっていたとはいえ名画だな。名匠と大俳優とヘンリー・マンシーニ、映画史に刻まれる作品であることは確かでした。
主演のお三方はやっぱりスターの輝きだ。一挙手の無駄もなく火花に出るような緊張感ある演技は見事でした。この共演だけで十分の見ごたえ。ラストシーンの2人の表情が忘れられない。ちっちゃいことだけど、ソ連にいるマストロヤンニはやや足を引きずった感じで、これは素なのか演技なのか? もし傷痍兵を意識した演技だったら。
ソ連シーンは当時の限界を感じた。当時の西側からソ連のロケ、商工業が発展する様子や近代的な街並みは外せなかったと思うけど、民衆の働く様子や温かい現地ロケシーンはイタリアスタッフの粘り勝ちか。
ふと、1970年の万博ソ連館を思い出した。ソユーズと宇宙服は、月の石のアメリカ館と人気の双璧だった。大画面に映される連邦国の風土や地域の衣装・舞踊など、なんてすごい国かと思い記念に切手帳を買ってもらったけと、父親は否定的だった。なるほど、戦中派だから不可侵条約の破棄とか抑留、この国の負の部分がわかっていたのだと思う。
いま、ひまわりの咲き乱れるあの花畑はどうなっているのかなあ? 戦禍の終息を祈るばかり。

Bluetom2020