「悲しみの上に咲く希望」ひまわり(1970) バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
悲しみの上に咲く希望
すごく小さい頃にTVで見た本作を大人になってから鑑賞。その時はひまわりの鮮やかさに関わらずとても哀しい気持ちになった記憶があります。なぜか?が今回の鑑賞でわかりました。
戦争なんて一部の権力者たちの欲望や都合で巻き起こされるものであり、そのために翻弄され、悲劇を背負うのは間違いなく一般市民なのです。向日葵畑に咲き誇る花の下には無数の哀しみが埋まっています。歴史が作った悲しみの上に咲く、まるで明るい明日のような向日葵は人類の願いそのものであり、咲いているのは哀しい過去があってこそであること忘れてはいけないのだと。
しかし、悲しいかな人間はいつしか綺麗な向日葵に目を取られ、何の上に咲いているのか?を忘れてしまうのでしょうね。そして、向日葵畑はただの花畑となり、潰され壊され足蹴にされ、そしてそこは新たな墓場となっていく。・・・きっと人間はそんなことを繰り返していく生き物なのではなかろうか?なんて思ってしまいます。
しかし、希望を作ることができることも人間なのですよね。アントニオ、ジョバンナ、マーシャ、誰も悪くない。辛い戦争を経てただただ幸せな明日を望んだだけなんですよね。それぞれの向日葵を咲かせたかっただけ。アントニオとジョバンナのクライマックスの対面シーンは切ないです。けどそれは悲しみを乗り越え、何かを赦し未来に希望を紡いだ結果なんです。明日を見たから巻き戻せない今があるんですよね。本当に切ないけど。
なぜ、プーチン政権は巻き戻そうとするのか?なぜ新たな希望を見出せないのか?なぜ繰り返すのか?ロシア内部から新たな明日を見る動きを期待するしかないのだろうか?
ひまわり畑のロケ地はウクライナの首都キエフから南へ500キロメートルほど行ったヘルソン州(Wikiより)だそうです。クリミア侵攻時も、今も侵攻されている土地ですよね?きっと。今、巻き起こっている戦争に憂い多くの方に見てほしいです。今だからこそ。