「VR時代を予見したカルト映画」ヴィデオドローム ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)
VR時代を予見したカルト映画
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クローネンバーグのカルト映画を初めて鑑賞。同監督作を見るのは「スキャナーズ」以来2本目、その内容は衝撃的だった。
ビデオ・テレビ文化に耽溺した人間が、自らの思考や体さえ乗っ取られ、しまいには同化していく。
一見すると荒唐無稽に思われるが、今のガジェットに置き換えると分かりやすい。
例えばスマホやPCがそうだ。利便性から使い始めたこれらのガジェット。もはや人間はこれなしには生きられないほど依存している。
またVRに至ってはビデオドロームそのものと言って良いだろう。ヘッドマウントディスプレイに投影された映像を、虚構と分かっていながら現実と錯覚してしまうあの感覚は今だからこそ分かるものがある。
機械と人間の主従関係の逆転を、クローネンバーグは当時主流だった「ビデオ」で表現したのではないだろうか?
脈打つビデオや人間を誘うテレビ、機械と人体との融合。どれもこれらを視覚化したメタファーに感じた。
そう言った意味ではターミネーターやマトリックス、邦画なら鉄男とも通底しているのかもしれない。機械と肉体が融合した描写はどの作品でも見られている。
主人公が機械に肉体を侵食されながらもどこかマゾヒスティックに見えてしまうのは、機械と肉体の融合の先に新人類になりうるというという欲望があるからかもしれない。
インプラントが進んだ世界になった時、更にこの映画が楽しめるようになるに違いない。
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