「ボッチとチェリー」ピクニック at ハンギング・ロック kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ボッチとチェリー
ハンギング・ロックの麓で転た寝している女生徒たちが絵画的で美しい。これに尽きる。純粋にミステリーを楽しもうと臨んだが、ここまでカルト作品だとは思っていなくて戸惑ってしまった。そんな第一印象だったけど、美しいシーンがとにかく心に残ってしまうに違いない。
オーストラリアのアップルヤード寄宿制女子学校。同性愛的な憧れの的でもあるミランダ(アン・ルイーズ・ランバート)を中心にマリオン、アーマ、イーディスの4人がピクニックの休憩場所から150mの頂上を目指すことになるが、途中、ぽっちゃりさんのイーディスが脱落して下山。神秘的な大岩の狭間をくぐり抜けたところで、彼女たちと教師のマクロウが行方不明となる。
どういうこと?
若い男二人、マイケルとアルバートも見とれてしまっていたが、ミランダは誰もが美人だと認めるくらい美しい。よく見ると歯並びは綺麗じゃなかったし、どちらかというとブルネットのアーマの方が美人じゃないのか?それに、失踪判明した段階でマクロウ先生がどんな顔だったか記憶になくなった・・・
そそり立つハンギング・ロックは男性器のメタファーであることはわかるし、1900年というイギリスからオーストラリアへの入植が盛んだった頃と退役大佐の一家という設定も興味深いものがある。元々オーストラリアはイギリスの流刑地。一見して平和そうに見える田舎町にも問題があったのかもしれません。評判が落ちるとして事件を隠蔽しようとしている人たちもいたことからも不穏な空気が感じられます。神隠しの謎は残したまま、結局は12時に止まったままの時間が20世紀のスタートであり、ミランダの言った「定められた時間と場所で始まり、終わる」という時代だったのでしょう。
そんな美少女風味いっぱいのこの作品。ミランダやアーマよりも、課外授業にも行かせてもらえないセーラの方が気になってしょうがない!両親がいないため施設で育った彼女。勉強も好きじゃないらしく、ミランダの作った詩に夢中になってる様子。そして、セーラには兄アルバートがいるのだが、彼はマイケルの祖父の元で働いている。兄妹は近くにいることも知らず、離れ離れになっている様子だ。そして、身元引受人からの援助は途絶え、アップルヤード校長からも退学を促されるという不幸を一身に背負うのだ・・・拷問シーンとかちょっと痛々しくて、涙を誘う。
マイケルとアーマの関係がちょっとわからない。いとこ?セーラと校長との確執も凄まじいものがあり、失踪事件よりもこちらの方が怖かった・・・