「美しくて強い」ピアノ・レッスン(1993) talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
美しくて強い
海岸に置かれたピアノ、海に投げ込まれたピアノ、この二つをみることができただけで満足しました。いつも大荒れの海、雨がよく降り空も暗い。森は鬱蒼として下は泥だらけ。明るいイメージがまるでないニュージーランド。
色の白い痩せた、子どものようなエイダ演じるホリー・ハンターに魅入られました。映画「クラッシュ」での印象(革と金属と松葉杖)しかなかったけれどこの映画の彼女はピアノ演奏含めて素晴らしい。声が出なくても表情と手の動きの強さと強い目、相手を少し見上げる目には誰もが心臓を掴まれる。そしてハーヴェイ・カイテル!少し野蛮で重くて純情で切ない役が素敵だった。役の幅がとても広い俳優!
フローラ役のアンナ・パキン、存在感あり重要な役どころを上手く演じていた。母親とは親子というより友だちのような恋人のような、あるいはフローラが母のようなそんな関係だった。
テーマ曲のピアノソロが今でもずっと頭に残っている。
共感とコメントありがとうございます。
ハーヴェイ・カイテルの演技者としての力量を知らされました。
今まで見た中で一番のハーヴェイ・カイテルでした。
フローラが「母」のよう、私もそう思います。では、フローラの母はどこ、って感じです。
コメントの追記、興味深かったです。
欧米の入植者(というか侵略者に近いかも)は現地の人達から良いように土地を買い叩いた、だけでなく、神聖な土地を冒涜してきたのですね
長い事エアーズロックと言われたオーストラリアの巨大一つ岩も、近年「ウルル」と言い換えられるようになりましたけど、あれも入植者に奪われた聖地だったんですね
talismanさん、本文にも魅了されましたが追記にもため息。
広く深い知識が感性に結びついててストレートな言葉にできるtalismanさんていったい⁉️って感じでレビュー超えて妄想😅
あと今回見てとても印象的だったのはイギリスから来た白人と先住民の「土地」に対する考え方の違いです。先住民にとって土地は先祖からの宝であり先祖の墓もある大事な場所だと言います。一方、エイダの夫は「彼らは土地を持っていても耕したりもせずほったらかしだ」と言う。土地そのもの、それが本当に大切だという信仰と尊敬と思い、一方で土地は金を生むものというプラグマテイックで資本主義的考え。世界中の「欧米」が世界中の「先住民の土地」を奪う図式を見た思いでした。日本も北海道で沖縄その他で同様だ
今日、この映画を映画館でみることができました。音も映像もよくとてもよかったです。レビューにも書きましたが水の音が印象的でした。女性が外でおしっこする音も含めて。
また、タイカ・ワイティティのサモアでのサッカーチーム映画で知ったマオリにおけるファフィネの存在。この映画にも勿論のように、登場していました