「ワゴンセール」バンド・ワゴン 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
ワゴンセール
当時フレッド・アステアは54歳、役柄もかつては一世を風靡したが今は落ち目のミュージカル役者という設定で、はなから屈折している。「バンド・ワゴン」は上演しようとしているショーのタイトルだが、劇中のミュージカル・ナンバーが切れ切れに紹介されるだけなので、全体の構成はよくわからない。
ミュージカル映画は、公衆の面前で突然歌ったり踊り出したりしても後ろ指を指されないという異世界を前提に成り立っているので、その不自然さを減殺するためにショービジネス界をテーマにしたものも多い。これだと舞台上のプログラムというカギカッコでくくられるので違和感はないが、ミュージカルが自己言及しているだけという印象もなくはない。
夜の公園でのアステアとシド・チャリシーのダンスなどはため息が出るほど美しい。「ラ・ラ・ランド」には明らかにこれを参照していると思われるシーンがある。
よく考えたらフレッド・アステアは50代以降の作品しか見ていないので、全盛期の映画も見てみたいと思った。
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