「Tragecomical Affairs at Haward‘s End(アガサ・クリスティ風に言うと、原作はフォスターだけど)」ハワーズ・エンド もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
Tragecomical Affairs at Haward‘s End(アガサ・クリスティ風に言うと、原作はフォスターだけど)
クリックして本文を読む
途中まではComedy(本来の意味での)だと思ったが、最後まで観て何と豊かな映画かという感想に変わった。デビット・リーンの端正さはないが、豊かな映像の中で滋味溢れる物語が紡がれていくところは正統英国映画の伝統が受け継がれている。物語もハワード・エンドという屋敷が受け継がれていく様を骨子としている。「インドへの道」でも描かれている様に、異質なものが出会うことにより、有るものは融合し、有るものは対立する様々な少ドラマが枝葉となる。同じ上流階級でも保守的なヴァネッサ・レッドグレーブと進歩的なエマ・トンプソンとの出会い。でも二人の間には友情が育つ。「インドへの道」でも活写された植民地からの搾取で富を築き上げたブルジョアのアンソニー・ホプキンズとエマとの結婚。庶民ながら詩と宇宙とを愛するレナードと父に輪をかけた俗物のチャールズ(二人は最後まで出会わないが、出会った途端に悲劇が起こる)。庶民のレナードが被害者になり、ブルジョアのチャールズが加害者になることで、皮肉にもハワード・エンドはエマを挟んで、上流階級と庶民との間には生まれたヘレン・ボナム・ガーターの娘へと受け継がれていく。現代に至るもまだ残るという英国の階級意識を肌身に感じないと100%理解出来ない世界だとは思うが、誠に豊穣な映画世界だということは理解できる。正統的英国映画だけあって俳優陣は揃って好演だが、やはりマーガレットを活き活きと造形したエマ・トンプソンがここではピカ一である。
コメントする