劇場公開日 1994年10月8日

「タランティーノは、芸人でいえば永野みたいな監督」パルプ・フィクション ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)

1.0タランティーノは、芸人でいえば永野みたいな監督

2025年3月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

カップルのレストラン強盗話、
ギャングの襲撃話、
ボクサーの八百長裏切り話、
縦軸にある3つの話をオムニバス形式で、意図的に時系列前後し、入り組んだ形で挟まれている映画。

どうして時系列がバラバラなのかは、よくわからず、ただ最後まで見ないと3つの話の全容が見えてこないので、
飽きさせない為にそうしてるのかなという気もする。

時系列バラバラ映画といえば、クリストファー・ノーラン監督の作品だが、
ノーラン監督の時系列バラバラは、
「頭でっかちの大卒監督が緻密に伏線回収プランを練り尽くし作ったような作品」なのに対し、
タランティーノ監督の時系列バラバラは、
「朝立ちしてる高卒監督がセンスと映画愛だけで伏線回収なんてくだらねえの勢いで作ったような作品」に感じた。

どちらの監督も、捻くれ者でクセモノには違いないが、
芸人でいえば、
前者は、真空ジェシカやラーメンズっぽい捻くれ者だし、
後者は、永野っぽい捻くれ者だ。

タランティーノ監督の作品は、パルプ・フィクションだけでなく、他の作品も、会話劇シーンが多い。
その会話劇の中で飛び交う雑談内容のほぼ全ては、物語の本筋や縦軸とはほとんど関係がない話であり、
極端に言えば、カットしても本筋に支障がない話、つまり、「無駄話」ばかり。
でもそこがこの映画の魅力的な部分になっていて、作品全体の雰囲気を作り、
面白味やセンスやオシャレな感じの下支えになっている。

無駄話で構成されているという事で言えば、この作品の30年後にあたる、日本のバカリズム脚本のドラマ作品などは、
タランティーノの無駄話映画の発展系とも言える系譜の中にあり、
より日本人的に、女性雑談的に特化させ、ブラッシュアップした、無駄話会話劇の進化した形とも言える。

で、それを踏まえた上での個人的感想だが、会話劇は好きだが、
無駄話は本当に無駄だから嫌いだし、
バカリズム作品のように、ハマる時はハマるかもしれないが、外国人の感性から出てくる無駄話は嫌いだし、
アメリカンジョークはもっと嫌いだし、
雰囲気オシャレな映画は生理的に受けつけないし、
それを「オシャレでいいね〜」とか言う連中は虫酸が走るほど嫌いだし、
頭の上から硫酸かけたくなるし、
無駄話ってそもそもダルいし、
それは本筋が軽くて薄っぺらな事の裏返しだと思うし、
本筋3つの主要登場人物は全員犯罪者だし、
犯罪者主人公(2+2+1=5人)なのに、死ぬのは1人だけで、
「北野武だったら犯罪者なら主人公でも全員、殺すと思うけどね、へぇ〜、タランティーノって甘い奴なんだね」
って思っちゃったし、
タランティーノ=永野的という事なら、永野さんで好きで認めてるのは悪口芸だけで、
洋楽について語ってる永野さんはぶっちゃけ前から嫌いだけどね、だって浅いしって感じだし、
多分相性は悪そうだけど、1度は観ておこうかと思いながら観たら、
案の定だったなという感じだった。

ソビエト蓮舫
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