「構成でこんな名作になるのか」パルプ・フィクション wutangさんの映画レビュー(感想・評価)
構成でこんな名作になるのか
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十数年ぶりに見ました。
自分のメモには高得点がついていたし、映画好き同士で話すと必ず名前が挙がる名作なのに、全く内容を覚えていなかったからです。
多分3〜4回目なんですが、見返してみて、なるほど総合的に大した話ではない。
タイトル通り、心に染み入るシーンもないし、共感できる登場人物も出てこない。
これは覚えていなくても不思議ではない。
にも関わらず、何度見ても名作だと感じさせられました。
”これから死ぬと分かっている”主人公がダサいTシャツでレストランから帰る、すっとぼけたラストシーンのなんとも言えない味わい深さは、この構成、この演出でなければ出せない味わいでしょう。
マーセルスがミスターウルフを送り出すシーンも、後に車に轢かれたり大変なことになる人だと思うとちょっとかわいく見えてしまう。
この順番以外はあり得ないと説得されるような見事な構成で、その結果なのか要因なのか、映画のテンポが絶妙でした。
ヴィンセントとジュールスの間における会話や起きる事件の軽快なリズム、ブッチが逃亡する時の緊張感、さんざんフラグ臭を匂わせたところでやや間の抜けたマーセルスとの鉢合わせ、全てのシーンが機能していて、脈絡もメッセージ性も薄い物語を重厚に楽しく見せられた映画だと感じました。
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