パリは燃えているかのレビュー・感想・評価
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今も世界のどこかで燃えているパリ
80年前のナチスからのパリ解放を描いた戦争ドラマの名作で、ビデオやDVDで観たことはあるけど、短縮版とは言えやっとスクリーンで観られて嬉しいです。パリの破壊と解放を巡り、ナチスのパリ占領司令官、デンマーク領事、レジスタンス、連合軍将校が入り乱れる群像劇を英米仏のスターをカメオ的に使い、記録映像を交えドキュメント風のモノクロで撮影しているのが素晴らしいです。しかし、ルネ・クレマン監督は、随所にフランス人らしいウィット溢れるシーンを散りばめながらも、パリ解放で浮かれたムードに水をかけるシーンも入れてきます。パリ解放寸前で歓喜に沸き立つ兵士や群衆が、一転してドイツ軍の反撃でバタバタと死んでいくシーンは強烈です。レジスタンスや連合軍をヒロイックに描かず、改めてこれは人が死ぬ戦争であること、そして平和を勝ちとるために血が流される現実に一気に引き戻されます。これは、この作品が製作されたのがパリ解放からまだ20年くらいで記憶がまだ生々しかったからかもしれません。それでも、電話から聞こえてくる、パリは燃えているかと言う独裁者の絶叫と、無傷の現在のパリの風景を空撮で描くエンディングは、モーリス・ジャールのうっとりするようなテーマ曲と共に平和であることの尊さを実感します。今も世界のどこかで繰り返されているパリが、1日も早く解放されることを祈ります。役者は、群像劇の中でも、ジャン=ポール・ベルモンドが、どこか飄々とした感じで目立ってました。レジスタンスの若僧なのに、いきなり大臣閣下と呼ばれて慌てるところが微笑ましいです。また、レジスタンスの指導者役のブルーノ・クレメールのアクの強さ、パットン役のカーク・ダグラスのオーラも印象に残ります。
小説の方がいいと思います。
ナチスドイツ末期、敗戦濃厚の中ヒトラーはパリ現地将軍コルティッツに
パリの破壊を命じる。しかし、破壊されることなくパリは連合国軍により
解放される。
小説では、一般パリ市民が、解放後、ドイツ兵やそれと親しかったものたちを
暴行、虐殺したのがもっとも印象に残った。心臓を抉られたドイツ兵もいた。
映画では、解放、歓喜だけなので、小説をお勧めします。
それにしても、アメリカとフランスの有名俳優が多数出てきたのが驚きだった。
余談ですが、この映画と同名の音楽があり、NHK映像の世紀で長く使われてますが、
いい曲ですよね。
この映画もパリ賛歌作品の一つだった!
「地獄の黙示録」を鑑賞後に、
やはりTV放映のあったこの作品が
コッポラの共同脚色作品と知り、
引き続き鑑賞した。
キネマ旬報ベストテンでは、選定対象に
「大地のうた」「市民ケーン」「男と女」等の
名作揃いの年に堂々の6位に
ランクインされている。
この作品は米国パラマウントの製作。
鑑賞し始めて早々、
全編イングリッシュの中で、
ヒトラーの語りだけを
ドイツ語にしたのは理解不能だったが、
どうもフランス語版もあるようなので、
場所柄や演じる俳優の比重からは、
本来はそちらの版で観べき作品のようにも
思えたものの、
もっともそちらはそちらで
ドイツ兵もアメリカ兵もフランス語で話す
バージョンなのだろうか。
それにしても、
パリ解放から20年以上も経っていながら、
多分当時と余り変わらない市内全域を
使えるというパリの街の特性は驚きだった。
そして、キャスト以外は人気の無いパリの
映像はいったいどのようにして
実現したのだろうか。
撮影のためにパリ全域を借り切ったような、
そこにある意味、
戦闘シーンを上廻る大作イメージが
溢れているように思われた。
ところで、この作品もパリ賛歌の映画
なのかと思わせられる。
これまでも、
古くは「巴里の空の下セーヌは流れる」や
近年では、ウディ・アレンの
「ミッド・ナイト・イン・パリ」等、
たくさんのパリ賛歌の映画作品があったが、
この作品でも、映し撮られるパリの街並みや
有名な建物は元より、
さりげない観光案内的描写もあり、
更にはアメリカ兵やドイツ人将校の語り
等々から、
そんな雰囲気がプンプンと匂ってくる、
正にパリ賛歌の作品に感じた。
ただ、解放の高揚感を観客に感じさせる
という意味では、
ルネ・クレマン監督が
ドキュメンタリーフィルムを用いたのに
対し、
同じく支配勢力からの解放を描いた
「アルジェの戦い」では、
アルジェ市民総出演と思われる演出そのもの
で高揚感を感じさせた差が
翌年のキネマ旬報ベストワンに選ばれた理由
の一つでもあったろうと想像もした。
オレたちもがんばった
フランス人としては自分たちの頑張りと思いたいんでしょうが、歴史事実としてパリを解放したのはアメリカ軍です。
さすがの名監督なので、戦闘シーンも悲惨や壮絶よりも格調高い余韻が残ります。何よりも背景がパリなので映像が締まります。
大物俳優が皆んな特別出演みたようなチョイ出で贅沢。
まとまり無く、長いが苦痛ではない
66年の製作ながら白黒です
エンドロールのみカラーでこの映画の約20年後の復興なったパリの空撮で終わります
なぜ白黒かというと、特に後半の市街戦を中心に本編の劇とパリ解放当時の実際の映像を大量にモンタージュしてシームレスに当時の状況を再現してみせるからです
若きアランドロン、軽口もたたかず真面目一辺倒な演技をするジャンポールベルモンドを見れるなどオールスター映画ならではの趣も楽しめます
ただ本作にはドラマとしての感動は有りません
しかし実際のパリ解放に歓呼して沸くパリ市民の姿が感動を呼びます
遂にノートルダム寺院の大鐘が轟いて、群衆が四方八方からナチスドイツの国旗を引っ張り、中央から破れ散り散りになるシーンを上から撮る映画的シーンでようやくカタルシスが訪れます
ヒトラーの信任あついドイツ占領軍司令官ですら、パリの破壊と市民の人命を救うべく面従腹背の腹芸をなしたことを描きますが、その45年後地球の反対側の中国では人民解放軍と名乗っている軍隊が自国の首都で自国の市民を戦車で何千人もひき殺す事件が起こります。こちらは映画にもならず、まるで無かった事のようにされています。
本作のように映画によって人々の記憶に深く伝説として刻むことの大切さを深く感じます
それが記録映画ではなし得ない映画の力なのです
本作の意義はそこに有ります
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