「パリは何故、戦禍を免れたか、リアルに分かりました」パリは燃えているか chakurobeeさんの映画レビュー(感想・評価)
パリは何故、戦禍を免れたか、リアルに分かりました
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時として、映画は歴史の流れを理解するのに極めて有用であります。史上、最も悲惨な第二次世界大戦でドイツに占領されたパリが何故、ヒットラーのパリ全面破壊命令に反し、無傷で残ったかを描いた近作の映画「パリよ、永遠に」の宣伝に刺激を受けて、昔に観た記憶だけあって内容を覚えていないルネ・クレマン監督の「パリは燃えているか」を再見致しました。この映画を観て、パリの歴史的景観が無傷でいられた背景がよく分かりました。中立国の立場からパリを守りたいスウェーデン大使の説得でドイツ在パリ最高指揮官は「パリを壊してこの戦争に勝てるならすぐやるが」と、即決断の迷いを抱き続けます。
ナチスドイツにあって、狂気から距離を置いた冷静な将軍のいたことは救いでした。
結局、レジスタンスによるパリ市街戦が最後は連合軍の支援を受けてパリ解放に至ったわけです。当時の記録フィルムも適宜挿入されているので生々しさもありました。映画の終わりに空撮で当時のパリ市街を写した場面が表れますが、それまでの白黒画面がカラー画面に変わって現在のパリも同じだと見せてくれたのはうまい演出でした。戦争の暴力性もきちんと描かれていますが、エスプリ精神も感じられる映画でした。
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