劇場公開日 1966年12月21日

「この映画もパリ賛歌作品の一つだった!」パリは燃えているか KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0この映画もパリ賛歌作品の一つだった!

2022年10月17日
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「地獄の黙示録」を鑑賞後に、
やはりTV放映のあったこの作品が
コッポラの共同脚色作品と知り、
引き続き鑑賞した。

キネマ旬報ベストテンでは、選定対象に
「大地のうた」「市民ケーン」「男と女」等の
名作揃いの年に堂々の6位に
ランクインされている。

この作品は米国パラマウントの製作。
鑑賞し始めて早々、
全編イングリッシュの中で、
ヒトラーの語りだけを
ドイツ語にしたのは理解不能だったが、
どうもフランス語版もあるようなので、
場所柄や演じる俳優の比重からは、
本来はそちらの版で観べき作品のようにも
思えたものの、
もっともそちらはそちらで
ドイツ兵もアメリカ兵もフランス語で話す
バージョンなのだろうか。

それにしても、
パリ解放から20年以上も経っていながら、
多分当時と余り変わらない市内全域を
使えるというパリの街の特性は驚きだった。

そして、キャスト以外は人気の無いパリの
映像はいったいどのようにして
実現したのだろうか。
撮影のためにパリ全域を借り切ったような、
そこにある意味、
戦闘シーンを上廻る大作イメージが
溢れているように思われた。

ところで、この作品もパリ賛歌の映画
なのかと思わせられる。
これまでも、
古くは「巴里の空の下セーヌは流れる」や
近年では、ウディ・アレンの
「ミッド・ナイト・イン・パリ」等、
たくさんのパリ賛歌の映画作品があったが、
この作品でも、映し撮られるパリの街並みや
有名な建物は元より、
さりげない観光案内的描写もあり、
更にはアメリカ兵やドイツ人将校の語り
等々から、
そんな雰囲気がプンプンと匂ってくる、
正にパリ賛歌の作品に感じた。

ただ、解放の高揚感を観客に感じさせる
という意味では、
ルネ・クレマン監督が
ドキュメンタリーフィルムを用いたのに
対し、
同じく支配勢力からの解放を描いた
「アルジェの戦い」では、
アルジェ市民総出演と思われる演出そのもの
で高揚感を感じさせた差が
翌年のキネマ旬報ベストワンに選ばれた理由
の一つでもあったろうと想像もした。

KENZO一級建築士事務所