「まとまり無く、長いが苦痛ではない」パリは燃えているか あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
まとまり無く、長いが苦痛ではない
66年の製作ながら白黒です
エンドロールのみカラーでこの映画の約20年後の復興なったパリの空撮で終わります
なぜ白黒かというと、特に後半の市街戦を中心に本編の劇とパリ解放当時の実際の映像を大量にモンタージュしてシームレスに当時の状況を再現してみせるからです
若きアランドロン、軽口もたたかず真面目一辺倒な演技をするジャンポールベルモンドを見れるなどオールスター映画ならではの趣も楽しめます
ただ本作にはドラマとしての感動は有りません
しかし実際のパリ解放に歓呼して沸くパリ市民の姿が感動を呼びます
遂にノートルダム寺院の大鐘が轟いて、群衆が四方八方からナチスドイツの国旗を引っ張り、中央から破れ散り散りになるシーンを上から撮る映画的シーンでようやくカタルシスが訪れます
ヒトラーの信任あついドイツ占領軍司令官ですら、パリの破壊と市民の人命を救うべく面従腹背の腹芸をなしたことを描きますが、その45年後地球の反対側の中国では人民解放軍と名乗っている軍隊が自国の首都で自国の市民を戦車で何千人もひき殺す事件が起こります。こちらは映画にもならず、まるで無かった事のようにされています。
本作のように映画によって人々の記憶に深く伝説として刻むことの大切さを深く感じます
それが記録映画ではなし得ない映画の力なのです
本作の意義はそこに有ります
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