パリの旅愁のレビュー・感想・評価
全2件を表示
ジャズを通して異なった生き方していく二人
初めはパリの街並みや石畳になっているところが懐かしく、1960年代のパリで芸術が満喫できるのかと思ってみ始めたら、焦点はアメリカのジャズ・ミュージシャン、ラン ボーエン(ポール・ニューマン)とエディ・クック(シドニー・ポワチエ)の恋の物語。この二人、エディーとラムは果たして米国に戻
るのだろうかと思いながら観ていたが、結論がどうなるのか怖くなってしまって、一時停止した。
エディもラムもアメリカ人のガールフレンドを愛しはじめているから、ふたりの揺れ動く様子が目の動きなどでよくわかりハラハラした。 エディのもラムのもことなった課題のある恋愛物語。いいねえ。
ラン(ポール・ニューマン)は最初、駅で黒人女性(コリーン:リリアン・キャロル)にスーツケースを下ろすのを手伝い、その後、朝食に誘うが、断られる。無礼な言い方が気分を害したようで、ランは謝る。ランは彼女に興味があったが、彼女の方が、異人種の男を受け付けないと思えた。彼女は伝統的な黒人のようにも見えるし、米国では当時法律違反になるから無理なのかと勝手に想像した。ここで白人の男性が黒人女性を好きになったら、60年初期に製作された映画として歴史に残る大作になるとも思った。
エディ(シドニー・ポワチエ)は米国に戻りたくないという理由をいつ直接コリーン(リリアン・キャロル)に言うか私は気になった。でもこのガールフレンドは力強いが伝統的な(?)女性でHome Homeで、黒人がアメリカに留まっているからこそ、それが社会を変える原動力になると。黒人は白人と活動して米国は良くなっていくと(確かにロサ・パークのモントゴメリーバスボイコットが1955年だからね。)。しかし、米国社会を徐々に『私たち』が変えていくとも言わないし、米国に帰れば、エディは黒人のミュージシャンとして扱われ、人として扱われず差別も受けるということを本当に理解しているのか不思議だった。エディはフランス人の子供が『blackman 黒人』といっても、自分は黒人だから問題は無いという。コリーンが米国でそう言われたらと。
そして、米国から逃げているという言い方をしているがパリに住む選択をしたと言った方がいと思った。お互いに好きだから文句はないが、エディの邪魔をしないでくれ、彼にパリで自由に生きさせてあげてくれと私は思った。でも、エディの方が彼女に夢中になっていくので、どうしようもないなと思ってみていた。
映画に出ているピアニストであるアーロン・ブリジャース(Aaron Bridgers)やジェームズボードウィン(1948年から)やリチャード・ライトをはじめ、米国の黒人作家芸術家がヨーロッパで生活をしている。黒人でなくてもヘミングウェイなどもヨーロッパにいた。サッチモはあっちこっちで公演していたようで米国が定住の地だ。彼のように有名でも、米国ではジムクロー法があり、南部では自由に白人のホテルに泊まったり、レストランに行ったりできない。『グリーン・ブック』という映画でドン・シャーリーとトニーが一緒に旅をするがこの映画と同じ時代だ。でも、ひとまず、舞台の上では英雄だ。人種はことなるが、エディもラムも米国のジャズが人気があるパリでミュージシャンとして成功したいと思っている。
"Take the "A" Train' (Billy Strayhorn) - A列車で行こう/ビリー・ストレイホーン
これはデュークエリントンの曲だと思っていたが、調べたら、ビリー・ストレイホーンという人の曲だとわかった。アーロン・ブリジャースの恋人であったらしい。
デューク・エリントン♪
トロンボーンのポール・ニューマン、テナーサックスのシドニー・ポワチエ。ギタリストがヤク中で再生の手助けをするニューマン。クラブ歌手の女との関係も冷え切ってしまいそう。そんなときにアメリカから二人の女性がパリに旅行にやってきた。たちまち二組のカップルが誕生するが、アメリカで一緒に暮らすかどうか迷う二人。
サッチモのゲスト出演も良かったし、デューク・エリントンのジャズが最高なのです。だけど、ストーリーがジャズを感じさせるほどミュージシャンの生活に密着してないように思う。ヤク中のギタリストジプシーだけは雰囲気があるんだけど、ポール・ニューマンのようなにやけた人間がジャズをやるように到底思えない。
全2件を表示