薔薇のスタビスキーのレビュー・感想・評価
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シャロンの薔薇
ウクライナ生まれでユダヤ人だったトロツキーが出てくるんですよ。なぜか唐突に。つまりは、資本主義に取り入って財を成したスタビスキーとの対比が、裏テーマなんだろうなぁ、と思う訳で。スタビスキーはシャモニーの山荘で死をとげる。トロツキーは逃走先のメキシコシティで、スターリンが派遣した刺客によって暗殺される。
ブルー・チームもレッド・チームも、やるこたぁ一緒って事で。
妻に送り続けた薔薇は、中世ヨーロッパで、その香りと美しさが人々を惑わすとして、キリスト教会がタブーとされた花。一方、ユダヤ教の解釈は異なります。旧約聖書に登場する、ソロモンの歌の「シャロンの薔薇」は、キリスト教では別の花と解釈されますが、ユダヤ教では「薔薇」であり、美しく若い女性と彼女への愛情を表すとの解釈。
ユダヤ人であるスタビスキーですから、妻への贈り物となる花は、薔薇以外には考えられなかったんでしょうね。
映画としては、時系列の分かり難さ、ってのが一番の難点でした。特に、トロツキーの登場場面は、完全に時系列を見失ってしまいましたw
香りのない薔薇🌹
沢山の素晴らしい台詞に劇場と、ベルモンドの「舞台俳優」が全開!愛嬌あって女たらしでアクションバリバリのベルモンド、20代の演劇俳優のベルモンド、そしてこの映画のように円熟の舞台俳優。ベルモンドの色んな側面を知ることができました。 時間軸ずらして、彼の近くに居た人達の証言、包帯の彼?と思ったらシャモニーの山小屋にいるベルモンドとワクワクする構成でした。ベルモンド映画常連の2名も確認!これも嬉しかった。 あれだけ沢山の薔薇があっても香りが感じられなかった。妻のためと沢山の白い薔薇で車を飾ったがまるで葬送車だった。薔薇の使い方をあえて表面的にしていることでスタビスキーの嘘っぽさがよく表われていた。でもベルモンドの顔見ると憎めない。
幽霊
スタビスキー事件が起きた時の内閣は
左翼同盟内閣なのだが
1933年12月末にバイヨンヌ市立銀行が倒産し
スタビスキーが疑惑を招く自殺をしたあと
次の内閣も世論を落ち着かせられず
1934年2月6日の暴動で倒れ
このあと右翼政権が続く
ドレフュス事件以来
ユダヤ人問題もくすぶっていたようなのだが
ウクライナ出身のユダヤ人である彼の詐欺事件を機に
フランスは分裂状態が続く
彼の豪勢な生活ぶりと共に
亡命ロシア人(ユダヤ人)トロツキーや
ドイツからのユダヤ難民女性の人生が交錯する
美しきアルレットはシャネルのモデルで
映画ではサンローランが考えるシャネル風衣装を披露
シャネルは模造宝石のアクセサリーも流行らせたが
質屋でもあった彼はその目利きの信用を悪用して
宝石詐欺を思いついたのだろうか
ビシー政権を非難してしまうが
それに繋がってしまう地下水脈のようなものも感じられた
スタビスキーはアルレットにしがみついていたが
本当に愛していたかはわからない
劇場も所有したが詐欺師の彼は総てが演技なのだろうか
彼の人生みたいなちょっと謎めいた映画でしたが
ベルモンドには皆を引きずり込んでしまう
詐欺師の魅力のようなものを感じました
彼の共犯だった人々はその存在を記憶からも抹殺しようとする
語り部となる男爵(ボワイエ)とあの政商にもモデルはいるのかな
ベルモンドの政界スキャンダル年代記
1930年代フランスの政財界を揺るがしたスキャンダの実録もので、監督は、なんと難解映画の代名詞『去年マリエンバートで』のアラン・レネだけど、今回はストレートなドラマです。なんと言っても、1930年代のフランスの上流階級のゴージャスな雰囲気が素晴らしく、そこに食い込む山師的なベルモンドのアクの強さとの対比がうまく表現されています。とは言え、登場人物が入り乱れ、お話も前後するので、ストーリーを追うのがしんどく、本筋とは関係ないトロツキーの亡命エピソードにも尺を取っているので、さらに分かりにくい感じなのは残念。役者では、ベルモンドが、スタビスキーの明暗のある複雑な内面を見事に演じています。アニー・デュプレは、サンローランデザインのドレスを着こなし、艶やかでした。
華麗なるスタビスキーの最後を演じるベルモンドの野心
アラン・レネが1930年代の不安定な時代に生きた野心家アレクサンドル・スタビスキーを華麗に描く。ジャン・ポール・ベルモンドが製作を兼ねる出演作品ということで、これまでのレネ作品の地味なタッチはなく、華やかな社交界に生きたスタビスキーの記録映画。ベルモンドが演じたい為に、監督をレネに依頼したと想像する。名優シャルル・ボワイエ、フランソワ・ペリエ共演の上品で贅沢なフランス映画に仕上がっている。
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