「汗と神」異邦人 pekeさんの映画レビュー(感想・評価)
汗と神
アルジェリアの話なのですね。
ぼうっとして観てたので、アラブ圏の話なのか、イタリアの話なのか、どこが舞台になっているのか最後までよくわかっていませんでした(原作も読んでいないので)。スミマセン。
それにしても、アルジェリアってイタリア人があんなに住んでいたんですか?
いやいや、ちょっと調べたらアルジェリアはフランス領だったというじゃないですか。カミュもフランス人だし。
これって、フランス人の話をイタリア人に置きかえて撮ったようですね。ややこし。
さて、ルキノ・ヴィスコンティ監督『異邦人』。
主人公ムルソーは、どこか虚無的でありながら、美しい恋人や友人たちと人生を享楽するが、やがてそこに不穏な空気が漂いはじめ……。
シンプルなストーリーですが、テンポがあり、興味深く鑑賞できました。
最近の映画ではあまり用いられないような唐突なクローズアップを多用する撮り方にも、観ているうちにすぐに慣れました。
作中、象徴的に「汗」が映し出されますが、これが本作のキーポイントになっていると思います。
それから、終盤の法廷や監獄のシーンでは、「神」がわりと重要なポイントになってくると思うのですが、そのあたりのやりとりがちょっとわかりにくかった(ぼうっと観ていたからでしょうか)。
そんなわけで、(西洋的な)「神」に対して馴染みのうすい我々日本人には、本作が描こうとするものを完全に読み解くのはなかなかむずかしいのではないか、この映画は、キリスト教圏の人々と、そうでない人々が観るのとでは、その印象がかなり異なるのではないか、などという感想も抱きました。
機会があれば、もう一度鑑賞して、そのへんのことを注意深く検証したいと思います。
あと、本作は「不条理」がテーマになっているようですが、それもあまりピンとこなかった。
昨今の日本における様々な事象のほうがよほど不条理かと……。
タイトルの意味するところを確認するためにも、ぜひ原作も読みたいです。