劇場公開日 2021年3月5日

「残念作」異邦人 Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5残念作

2021年3月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

監督、プロデューサー、そして俳優の名前を見て期待が高まったが、蓋を開けてみれば残念作であった。
途中、退屈して居眠りした自分にレビューの資格があるかは、とりあえず置くとして、「本当に、ビスコンティ監督作品なの?」と言いたくなるような、あっさりした作りだ。
「とりあえず小説を再現してみました」というだけに見える。

自分のイメージが間違っているのかもしれないが、マストロヤンニは年を取り過ぎているだけでなく(1967年公開時、43歳)、少しまとも過ぎる。
本作において、検事が正しいか、主人公が正しいかは問題ではない。(単なるモラルや宗教の話だけなら、刊行した1942年において、何も珍しくはないはず。)
検事を怒らせるほどの何かがズレた“異邦人”ぶり、つまり“鈍感力”や傲慢さ、自己防衛のための嘘をつかない率直さの表現に失敗していると思う。

原作は一人称である。
本作は、主人公の内面の表現が、決定的に欠けている。
他人が主人公を理解できないように、主人公も他人を理解できないという、不思議世界を三人称で描くのは、巨匠ビスコンティをもってしても不可能だったということかもしれない。

Imperator