「我慢を強いる映画」バベットの晩餐会 よしたださんの映画レビュー(感想・評価)
我慢を強いる映画
北欧独特の光線が屋外のシーンを特徴的にする。その点でベルイマンの映画と共通している。
そして、また共通しているのがキリスト教の信仰を描いていること。
ただし、この作品にはベルイマンにあるような皮肉が見られず、ただひたすら純粋な信仰生活を送る姉妹が描かれるのだ。田舎の厚い信仰者の退屈な生活をひたすらに映し出すことが本作の仕掛けといってもよい。
タイトルにあるバベットなる人物は後半になってようやく登場し、その女性が作る晩餐の料理は映画の最後になってようやく映し出されるのだ。それまでは貧しい北欧の貧相な食事しか出てこない。
バベットがふるまう料理はどれも美味そうで、グルメ映画としても素晴らしい。ただし、この料理をつくる話が出てくるまでは、ひたすら敬虔な信仰心を持つ姉妹が男たちを袖にするというもので、見続けることに忍耐を要する。最後まで静かで禁欲的な生活の描写で引っ張っておいて、最後に極上のフランス料理を観客に見せつけるのだ。
とことんじらされた観客にとって、ここで供される品々は文字通り垂涎の的ととなる。
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