「勇気が出た」波止場(1954) 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
勇気が出た
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勇気をきちんと正面から描いていて感動した。波止場の労働者どもは最初、主人公を冷ややかに見ていて、余計なことするなみたいな感じだったのに、主人公の頑張りに感化されてヤクザに立ち上がる。それは主人公の行動に感動したのだろうが、結局大勢につくようないやらしい感じもした。主人公がそのまま放置されたら、それはそれで悲惨なのだが、お前らのは本当の勇気なのかと問いたい。
神父が勝手に煽って、それで人が死んでも自分はそれほど痛い目に会わず、そこもいやらしい感じがした。お前は主人公や死んだ人ほど泥をなめているのか、と言いたい気分だった。
波止場を仕切っているギャング連中が、非常にふてぶてしく、悪者らしい素晴らしい存在感だった。
ヒロインもきゃんきゃん騒ぐだけで特になんの役にも立っていなかった。
ヒロインと神父の勝手な主張に振り回されて、お兄さんまで殺された主人公が気の毒だった。
勇気を持つことは素晴らしいのだが、それが果たしていい結果をもたらすのかどうか非常に疑問であり、そんなところもリアルでいい映画だった。
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