バットマン(1966)のレビュー・感想・評価
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ヤッターマンみたいなドタバタ作品なのでキャットウーマンがだんだんドロンジョ様に見えてくる
バットマンほどダークでシリアスな作品からポップでキッチュな作品まで振れ幅が大きいキャラクターも珍しいのではなかろうか。
『ダークナイト』(2008)や『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(2022)がシリアスの極北に位置しているとしたら、その対極にいるキッチュの極みが本作だろう。
本作を観た後だとよく分かるのだけど、ジョエル・シュマッカーが撮った『バットマン フォーエヴァー』(1995)や『バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲』(1997)は本作及びその元となったテレビドラマ版のキッチュさを受け継いだ作品である。
本作は1966年に公開されたバットマン初の長編映画なのだが、そもそもはテレビドラマを売り込むために同時進行的に企画されていたものらしい。
同じ年の1月から5月に放送されたドラマの第1シーズンが爆発的にヒットしたため映画の方も急ピッチで製作され7月には公開にこぎつけ、こちらもヒットしたようである。
テレビドラマの方を自分は全く観たことがないのだけれど、本作がテレビドラマの長尺版と言って差し支えないと思われるので本作を観ればドラマの方がどんなものだったかはだいたい想像はつく。
60年代に起こったヒッピー・ムーブメントのようなカウンターカルチャーの影響もあるのかも知れないけれど、全体に悪ノリ感、悪ふざけ感が強い。
本作及びテレビドラマの製作陣は子供向けコミックのヒーローである「バットマン」を大真面目にドラマ化するということはせず、コメディ寄り、パロディ寄りの悪ノリ作品という形で表現したのだ。
それは子供向けであるのはもちろんだけど、大人も頭を空っぽにして楽しめるよう意図して作られたものだったのだろう。
とにかく本作のストーリーは恐ろしくバカバカしい。
ジョーカー、ペンギン、キャットウーマン、ナゾラー(リドラー)といったその後の映画作品でもお馴染みの悪党たちが奇想天外なバカバカしい悪事を企み、それを防ごうとするバットマン&ロビンとハチャメチャな戦いを繰り広げる。
だいたいこんな筋立てであり、テレビドラマも毎回こんな感じなんだろうなと想像させられる。
バットマンやロビンが悪党たちを殴るたびに「POW!」(ボカッ)といった漫画の擬音が画面に挿入されるポップなんだかダサいんだかよくわからない微妙な演出もドラマ版と同じである。
あまりにもバカバカしいドタバタ劇なので、なんだかヤッターマンとドロンボー一味のバトルを見ているような気がしてきて、キャットウーマンがだんだんドロンジョ様に見えてくる(笑)。
それでも途中で投げ出さずに意外と最後まで観てしまうのはやはり「バットマン」という作品自体が持っている底知れない魅力、特にヴィランたちのイカれた魅力によるところが大きいと感じる。
特にシーザー・ロメロが演じるジョーカーは本作の中ではそれほど大きな役どころではないにも関わらず強烈な印象を残す。
自分にとってはこのシーザー・ロメロ版のジョーカーを観ることができただけでこのドタバタ作品を観た価値があったと言える。
ダークでシリアスなバットマンの登場はアメコミ界の鬼才フランク・ミラーが1986年に『バットマン:ダークナイト・リターンズ』という傑作コミックを発表するまで待たねばならない。
このコミックの大ヒットによってティム・バートンが『バットマン』(1989)を作る流れが生まれ、ダークなバットマン映画の歴史が始まるのである。
本作はジョエル・シュマッカー版のポップでキッチュなバットマンが好きな人は一見の価値あり。
『ダークナイト』(2008)や『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(2022)みたいなダークでシリアスなバットマンが好きな人は一生観る必要がない映画(笑)。
映画作品としてはあまりにもバカバカしいので★二つ。ヴィランたちのイカれた魅力で★半分おまけ。
大乱闘バットマンブラザーズ。 これを映画でやる意味とは…???
ゴッタム・シティの救世主“バットマン&ロビン“の活躍を描く特撮スーパーヒーロードラマ『バットマン』の劇場版。
発明家シュミットラップの乗る船が襲われるとの通報を受け、バットコプターで大洋へと向かったバットマン&ロビン。しかし、それはペンギンとジョーカー、ナゾラー、キャット・ウーマンが結成したヴィラン連合「ユナイテッド・アンダーワールド」の罠だった…!
キッチュでキャンプな作風が人気を呼んだテレビドラマ『バットマン』(1966)。その放送終了の2ヶ月後に公開されたのが本作であり、世界観やキャストはドラマ版を引き継いでいる。
ちなみに、本作公開の約1ヶ月後にはシーズン2の放送が開始している。このもの凄いスピード感覚に、本シリーズの人気っぷりが表れていますねぇ。
映画化という事で予算がアップしたのだろう。テレビドラマには登場しなかったバットコプターやバットボートが初登場。「これを見よ!」と言わんばかりに、冒頭からガンガン乗り回すバットマン&ロビンの姿が微笑ましい。
また、登場するヴィランの数もスケールアップ。ペンギン&ジョーカー&ナゾラー(リドラー)&キャットウーマンという、『バットマン』シリーズを代表する人気キャラが惜しげもなく投入されている。
色々とボリュームが増えているとはいえ、ノリは完全にドラマ版とおんなじ。マヌケなヴィランがマヌケなバットマンとマヌケなすったもんだを繰り広げる。「奴らが4人揃えば世界を征服できる…」って、そんな訳ねーだろっ!!💦しっかりしてくれバットマン。
オープニングに書かれている「荒唐無稽の楽しさ バカバカしさを愛する人に」という文言に嘘偽りはない。
そうなってくると、問題となるのは尺の長さ。
ドラマ版は1話30分弱であり、前後編2話で1エピソードが描かれる。つまり50分少々で1つの事件は解決するのであるが、本作はドラマ版とおんなじノリなのにも拘らずランタイムはその約2倍と非常に長く、どうしても間延び感は否めない。
そもそもドラマ版だって1話30分だからなんとか観てられる様な作品な訳で、2時間もぶっ続けで鑑賞出来る代物ではない。こんなんずっと観てたら頭おかしなるで🌀
大体、ドラマ版から諸要素を引き継いでいるのに、ニール・ヘフティ作曲の「バットマンのテーマ」が流れないってのはどういう事や一体!?あのオープニングが見たいからドラマを見ていた様なものなのに…。
確かに本作のオープニングも『ルパン三世 PART1』(1971-1972)みたいでカッコ良いが、やっぱりあのアニメーションと「デレデレデレバットマーン♪」という軽快なテーマ曲には敵わないのです。
『レゴバットマン ザ・ムービー』(2017)でもネタにされていた伝説の「バット鮫よけスプレー」や、POW!!なスマブラ的わちゃわちゃ大乱闘など、まぁ楽しいところもあるっちゃあるし、ドラマ版ではあまりフィーチャーされていなかったブルース・ウェインのプレイボーイっぷりが遺憾無く発揮されている点は評価したいのだが、これならテレビスペシャルでやってくれよ…というのが正直な感想です。
※字幕版しか配信していなかったので已む無くそれで鑑賞したのだが、このシリーズは本来吹き替え版で楽しむのが正解。広川太一郎さんをはじめとする伝説的名優たちによる荒唐無稽な演技合戦は、作品の面白さを何倍にも引き上げている。そういう意味では『宇宙忍者ゴームズ(原題:ザ・ファンタスティック・フォー)』(1967-1968)とおんなじタイプの作品である。
今回はかなり辛い鑑賞体験となったが、吹き替え版ならまた感想も違った事だろう…。
※※何気に驚いたんだけど、本作はワーナー・ブラザースじゃなくて20世紀フォックス(現20世紀スタジオ…ダサい名前🌀)製作なんですね。って事は、このタイツバットマンはMCUに参戦出来る…ってコト⁉︎
ツッコミどころ多いけど僕は好き
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