劇場公開日 1999年6月5日

八月のクリスマスのレビュー・感想・評価

全13件を表示

4.0「死と向き合いながら生きる喜びと諦観」

2025年6月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

癒される

 30歳になるジョン・ウォン(ハン・ソッキュ)は、人生これからというときに死を宣告される。そんな時、駐車違反の取り締まりの仕事をしているタリム(シム・ウナ)と出会い、お互い好意をいだいていく。
死の宣告をされたらどのような精神状態になるであろうか。死の怖さ、悔しさ、愛しい人への恋慕、もっと生きていたい未練、すべてを完全喪失してしまう絶望ではないか。
しかしジョン・ウォンは、いつも笑顔を絶やさず、悲痛にならない、明るさを失わず、優しさで人をつつみこんでいる。ただ友達と飲んでもう一軒付き合えと懇願するとき本音も漏らす、完璧な人間ではない。
タリムは、性格がちょっときつく、わがままではあるが、徐々に素直になり、おじさんという呼び方で慕ってくる。おじさんという呼び方が、年上だけで恋愛対象外という言い方ではない、彼への好意を感じる。
お互い、「好き」「愛している」と言わなくても心がつながっている二人。タリムは、ジョン・ウォンの店にわざわざ来て寝る。戻ってくる場所、人がいることの安心感がかもしだされる。またジョン・ウォンがバイクでタリムの横を通り過ぎる。必ずバイクが戻ってくるという確信の表情バイクを待っているタリム。二人で遊園地
で楽し気にぶ姿が二人の結びつきの強さを感じる。
タリムのことを愛しているから、愛を得たから死にたくないというジョン・ウオンの心情は死によって別れざるえない悲劇性が増幅される。ジョン・ウオンの遺書で
「タリムにさよならは言わない。愛したまま死にたいから」心の底からタリムを愛していた。それゆえこの言葉が重く響く。
タリムは、ジョン・ウォンを愛していたことに寸分の間違いもなかった。ジョン・ウォンを愛したことを後悔はない。なぜならジョンウォンはタリムを愛したまま死んだのだから。タリムは死んでも愛される人をえたのだ。
人間の命はいつか絶えるのは当然なことだ。愛する人との別離も当然のことだ。ただこの映画が描写したのは、尊いまさしく死に様だ。誰からも愛されて死ぬ。なんと幸福で尊い死なのか。親しい人が死んでも忘れられないのは、その人が生きたすべてである。それが生き様だ。
まさに韓流ブームの火付け役となった映画で悲劇のラブストーリーだ。ベタな悲劇の純愛ラブストーリーだが、そうなっていない点に注目しなければならない。その要因は、二人の距離感だ。ほどよい距離感を保ち二人でベタベタしていない。それはジョン・ウォンがもう死ぬことがわかっていたから、自ら距離をとっていたことがより悲しさを増す演出になっている。何気ない日常を愛し、恋する人、生きたいという喜びがあるからこそ死が悲しいのだ。
生きる喜びとは、充実し、満足し、希望に満ちた人生を送っている人だ。ただ現実社会において、生きる喜びに満ちている人はそんなにいないように思う。人はどこかで妥協、諦め、義務感、失望、虚無感、ストレス,病等にさらされ生きている人のほうが大多数だ。
ジョンウォンは、生きる喜びと、死が目前に迫っている諦観、両面をまかせもっている。この二つの心情がジョン・ウォンの心を行き来し、死という現実の前に悲劇に終わるのだ。生きる喜びに満ちている人は、この悲劇にさほどの感慨をいだかないだろう。しかし生きる喜びに欠けている人がこの映画を見たなら幸福な思いになるであろう。今はこれしかできないが、ジョン・ウオンのような生き様・死に様をしたいという羨望を持って、前向きに生きていこうという思いにかられるから。

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かな

4.5【”様々な記念写真。そして残された日々を淡々と、けれども大切に生きる。”今作は、ホ・ジノ監督の抑制した演出が光る、ラヴ・ストーリーの逸品である。】

2024年7月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

幸せ

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NOBU

4.0ゆっくり心に広がるよう

2023年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

とても静かで儚い、恋の物語。
ゆっくりとお互い惹かれあって。
でも踏み込めなくて、でも焦がれていて。
それが見ていてとても切なくなるんですね。
伝えたいけど、それを伝えない事の意味。
いつも笑顔だけど、ヤケになったり人間味もちゃんとあって。
それでも最後はまた、ちゃんと笑顔なのがまた良いです。
ゆっくり心に広がるような、静かで素敵な作品でした。

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白波

3.0遺されし人たちへのメッセージ

2023年2月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ハンソッキュ扮する不治の病に侵された写真店主ジョンウォンの店にシムウナ扮する駐車取締員タリムが来る様になった。
ちょっと変わった娘だけど、女性との語らいは元気づけるね。でも余命が気になる様になったら恐くなるかもね。余命ってのは果たして分かった方がいいのかどうか分からないな。遺言じゃないけど、遺されし人たちへのメッセージも必要だ。あとは遺影を撮るタイミングがいつがいいんだろうな。

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重

4.0セリフがほとんどないのに伝わってくるもの

2022年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

この映画が公開されたころに見た記憶があり、20年ぶりくらいにアマプラで鑑賞。
余計な説明のようなもの、セリフがなくて、物語は淡々と、セリフが少なめ。最後の20分くらいに至ってはほとんどセリフらしいものがなく、長回しの静止画像と役者さんの演技、表情だけで進む。でも気持ち、心情が伝わってくる。脚本が秀逸なのだろう。
日本でも公開されたくらいだから元々よい作品なのだろうけれど、韓国映画も非常に魅力があると思う。
エンドロールで流れるハン・ソッキュの歌う主題歌もとてもよかった。

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ふーてんふーてん

4.0死を考えた時の事は忘れたりしない。

2021年4月12日
PCから投稿

小学生の低学年の頃だったと思う。隣の犬が死んだ。人なっこい雑種犬だった。
不思議なくらいに哀しかった。そして、ふっつと思った。僕もやがて死ぬ。とてつもなく恐ろしくなった。
若くして死を意識し始めるのは至極当たり前の事だけど、実感することはほとんどない。しかし、この映画は確実に死ぬことが判ってしまった若者の数か月間の生きようを丁寧に描き切っていた。驚いた。実は、この映画は数年まえに観た。きっかけは幼いころから付き合っていた彼女が薦めてくれて仕方なしに観た。その時、僕は今夜のような気分にはなっていなかった。屈託のない笑顔や、心を許した友達の前で泥酔する彼の姿に生きていることのやるせなさが滲んでいた。それでも笑顔を絶やすことはない。そして何よりも恋した女には自分自身の病について語らない。若さゆえにできることなのだ。そして、僕は、この映画を観る様に薦めてくれた彼女のことを思い浮かべた。彼女の顔を思い浮かべようとしたけれど、どうしても頭の中で彼女の顔は描けなかった。
それが"死"と言うことなのだ。

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はる

3.0淡々と静かなお話

2020年8月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

難しい

ただ淡々とお話がすすみます。

派手な演出は全くなく、それが余計にお話をリアルに見せているような気になり、映画の世界へ引き込まれます。
不治の病を抱えた写真屋の男性と、駐車違反取締りのお仕事をする女性の淡いラブストーリーのようなヒューマンドラマ。
正直、単純なようで難しかったです。
死を前にした人間の心情を感情剥き出しには描かず、ただ粛々と死が近づいていることを表現しています。
ただ淡々と、静かな映画です。

タイトルの意味が今ひとつよく映画の内容とどう繋がるのか私には理解できず。

The韓国!のような映画ではありませんが、こんな韓国映画もなかなか良いじゃ無いか!

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M hobby

3.5静かな物語

2019年6月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

台詞が少なくて、映像も淡々としていて、
ともすれば眠たくなってしまうが、
ハンソッキュの事情がストーリーの推進力になっていて、段々と見逃せなくなってくる。

「シュリ」とかでのアクティブなハンソッキュよりも、
こっちの静かな彼の方が合ってる気がする。

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クリストフ

5.0家族写真

2018年11月18日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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kossy

4.0写真館の青年と一人の少女の切ない LOVE STORY。だけど…

2018年11月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

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HIDE Your Eyes

4.5感情移入しまくりで胸が苦しくなりました。

2017年5月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

感情移入しまくりで胸が苦しくなりました。

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へまち

3.5しみじみと、ほのぼのと・・・

2009年3月24日
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

韓国映画にはまり始めた頃にDVDで観ましたが、これまたお約束の主人公の死期の迫る難病。
それでもすっかりその世界に入り、しみじみと観てしまう所が、韓国映画恐るべしです。(笑)
ほのぼのとした二人の恋愛が、とても身近にありそうな感じがして、また悲しいだけではなく、少々笑える所があるのも微笑ましくて、友人と妹の恋愛を見守るような感じで観ました。(男から見た場合ですが)

リメイクもありましたが、自分が面白かった映画のリメイクは、ハリウッド版であれ日本版であれ比較して観てしまい、映画の世界に入って面白く観れないので観てません。(^^;

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くろすけ
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