八月のクリスマスのレビュー・感想・評価
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【”様々な記念写真。そして残された日々を淡々と、けれども大切に生きる。”今作は、ホ・ジノ監督の抑制した演出が光る、ラヴ・ストーリーの逸品である。】
ー 今作のリメイクである山崎まさよし氏主演の同名映画は10数年前に鑑賞し、大変に気に入りサントラまで購入したのだが、オリジナルである今作は初鑑賞である。レンタルビデオ屋を幾ら探しても見つからなかったからである。
序でに言うと、リメイク作を鑑賞したレビューは挙げていない・・。-
■簡単な粗筋
小さな写真店を経営する青年、ユ・ジョンウォン(ハン・ソッキュ)。
彼は違法駐車の写真の引き伸ばし現像を依頼された事がきっかけで、素直で純粋でお茶目な駐車取り締まりを生業とする女性、キム・タリム(シム・ウナ)と知り合う。
タリムは次第にジョンウォンに惹かれ、ジョンウォンも彼女の好意に応えようとする。
だが、彼は見かけは元気そうなのだが、余命いくばくもない状態だった・・。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作は、ユ・ジョンウォンとキム・タリムのラヴ・ストーリーであるが、二人は近しくなっても腕を組んだりするまでで、キスもしない。
けれども、二人は会うといつも笑顔である。
特に、キム・タリムがジョンウォンが営む写真展の茶色の古びたソファーで、彼が仕事をする姿を見ている笑顔が素敵である。
・ユ・ジョンウォンは、写真館で様々な人の記念写真を撮る。家族写真、親友チョルグを含めた友人達との写真、キム・タリムの写真。
家族写真を撮った後に一人夜にやって来るチマ・チョゴリを着たお婆さんの遺影に使うという写真を撮るシーンが特に良い。
彼は、いつでも笑顔で様々な人の写真を撮ってあげるのである。
・キム・タリムとジョンウォンは、茶色のソファーで一緒にアイスクリームを食べたり、キム・タリムが友人から貰ったという券で遊園地に行ったりする。
そして、又ソフトクリームを一緒に食べるのである。
二人はいつも笑顔である。
・だが、劇中、ジョンウォンは雷鳴轟く夜に父の寝る布団にもぐり込んだり、父にリモコン操作を教えても覚えないので操作手順を紙に書いたり、写真店の機械の操作手順を記したりする。
そして、一人布団の中で号泣する姿を、カメラは固定のローアングルで遠方から撮影する。
ー 今作では、ホ・ジノ監督の徹底した抑制した演出が光っているのである。-
■ジョンウォンは、ある日病院に担ぎこまれ、彼の写真店の戸は閉じられる。季節が流れる中、その写真店にキム・タリムは立ち寄り、戸の間に手紙を差し込む。
だが、一向に写真館は開かない。キム・タリムはある日、写真店のガラスに石を投げつけて割ってしまう。
又、季節は流れジョンウォンは写真店に戻って来る。
そして、多くの人を撮った写真機で、自ら笑顔を浮かべた”遺影”写真を撮るのである。
ジョンウォン亡きあとに、その事を知らずに写真店を訪れたキム・タリムはガラス越しにジョンウォンが撮ってくれた、自分の笑顔の写真を見て微笑んで去るのである。
<今作は、ホ・ジノ監督の静かで抑制した演出が、優しく温かく、そして気品ある趣を醸し出す一級のラヴ・ストーリーである。
鑑賞後の余韻が、心に残る作品でもある。>
ゆっくり心に広がるよう
とても静かで儚い、恋の物語。
ゆっくりとお互い惹かれあって。
でも踏み込めなくて、でも焦がれていて。
それが見ていてとても切なくなるんですね。
伝えたいけど、それを伝えない事の意味。
いつも笑顔だけど、ヤケになったり人間味もちゃんとあって。
それでも最後はまた、ちゃんと笑顔なのがまた良いです。
ゆっくり心に広がるような、静かで素敵な作品でした。
遺されし人たちへのメッセージ
ハンソッキュ扮する不治の病に侵された写真店主ジョンウォンの店にシムウナ扮する駐車取締員タリムが来る様になった。
ちょっと変わった娘だけど、女性との語らいは元気づけるね。でも余命が気になる様になったら恐くなるかもね。余命ってのは果たして分かった方がいいのかどうか分からないな。遺言じゃないけど、遺されし人たちへのメッセージも必要だ。あとは遺影を撮るタイミングがいつがいいんだろうな。
セリフがほとんどないのに伝わってくるもの
この映画が公開されたころに見た記憶があり、20年ぶりくらいにアマプラで鑑賞。
余計な説明のようなもの、セリフがなくて、物語は淡々と、セリフが少なめ。最後の20分くらいに至ってはほとんどセリフらしいものがなく、長回しの静止画像と役者さんの演技、表情だけで進む。でも気持ち、心情が伝わってくる。脚本が秀逸なのだろう。
日本でも公開されたくらいだから元々よい作品なのだろうけれど、韓国映画も非常に魅力があると思う。
エンドロールで流れるハン・ソッキュの歌う主題歌もとてもよかった。
死を考えた時の事は忘れたりしない。
小学生の低学年の頃だったと思う。隣の犬が死んだ。人なっこい雑種犬だった。
不思議なくらいに哀しかった。そして、ふっつと思った。僕もやがて死ぬ。とてつもなく恐ろしくなった。
若くして死を意識し始めるのは至極当たり前の事だけど、実感することはほとんどない。しかし、この映画は確実に死ぬことが判ってしまった若者の数か月間の生きようを丁寧に描き切っていた。驚いた。実は、この映画は数年まえに観た。きっかけは幼いころから付き合っていた彼女が薦めてくれて仕方なしに観た。その時、僕は今夜のような気分にはなっていなかった。屈託のない笑顔や、心を許した友達の前で泥酔する彼の姿に生きていることのやるせなさが滲んでいた。それでも笑顔を絶やすことはない。そして何よりも恋した女には自分自身の病について語らない。若さゆえにできることなのだ。そして、僕は、この映画を観る様に薦めてくれた彼女のことを思い浮かべた。彼女の顔を思い浮かべようとしたけれど、どうしても頭の中で彼女の顔は描けなかった。
それが"死"と言うことなのだ。
淡々と静かなお話
ただ淡々とお話がすすみます。
派手な演出は全くなく、それが余計にお話をリアルに見せているような気になり、映画の世界へ引き込まれます。
不治の病を抱えた写真屋の男性と、駐車違反取締りのお仕事をする女性の淡いラブストーリーのようなヒューマンドラマ。
正直、単純なようで難しかったです。
死を前にした人間の心情を感情剥き出しには描かず、ただ粛々と死が近づいていることを表現しています。
ただ淡々と、静かな映画です。
タイトルの意味が今ひとつよく映画の内容とどう繋がるのか私には理解できず。
The韓国!のような映画ではありませんが、こんな韓国映画もなかなか良いじゃ無いか!
静かな物語
台詞が少なくて、映像も淡々としていて、
ともすれば眠たくなってしまうが、
ハンソッキュの事情がストーリーの推進力になっていて、段々と見逃せなくなってくる。
「シュリ」とかでのアクティブなハンソッキュよりも、
こっちの静かな彼の方が合ってる気がする。
家族写真
台詞も少なく、淡々とした展開にやられてしまった。観ているうちにアレコレ考えさせられ、主人公ジョンウォンの全ての行動が意味あるものに昇華してしまう。
いかにもおじさんの笑い方だと思ったが、30そこそこ。幽霊のおならという笑える怪談話もいい。同僚とひとつベッドで寝るタミルもいいなぁ・・・女の子同士で寝るということは韓国では多いのかな?
獅子座、20代後半とタミルに言い当てられ、30歳になる人生の節目の意味を考える。冒頭の葬式、家族写真を撮りにきた客のおばあちゃんの行動によって、死期が近づいてきている彼の気持ちがひしひしと伝わってくるのです。突如入院した彼の行動(実際には、彼女に何も知らせなかったという、何もしない行為)が理解でき、両サイドから見る者にとっては悲しくてしょうがなくなる。写真=思い出という単純なものにしたくなかったタミルへの愛情は、最後には彼女に伝わったのでしょうか。店頭に飾ってあった自分の写真を見たタミルの微笑がずっと印象に残ってしまいます・・・
写真館の青年と一人の少女の切ない LOVE STORY。だけど…
こんな韓国映画で切ないLOVE STORYを感じたのは初めてです。
特に最後の青年(ハン・ソッキュ)の撮った写真がそのまま遺影になるとは心に打たれました。彼はもっと生きたいだけじゃなく、彼女と一緒にいたかっただろうか。
※この映画は日本でもドラマ化したらもっと泣けるだろうか…
ちなみに僕の予想キャスト(勝手に)ですが
写真館の青年役・・・向井理or松本潤
駐車取り締まりの少女役・・・川口春奈or二階堂ふみ
しみじみと、ほのぼのと・・・
韓国映画にはまり始めた頃にDVDで観ましたが、これまたお約束の主人公の死期の迫る難病。
それでもすっかりその世界に入り、しみじみと観てしまう所が、韓国映画恐るべしです。(笑)
ほのぼのとした二人の恋愛が、とても身近にありそうな感じがして、また悲しいだけではなく、少々笑える所があるのも微笑ましくて、友人と妹の恋愛を見守るような感じで観ました。(男から見た場合ですが)
リメイクもありましたが、自分が面白かった映画のリメイクは、ハリウッド版であれ日本版であれ比較して観てしまい、映画の世界に入って面白く観れないので観てません。(^^;
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