劇場公開日 2022年10月21日

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「ポール・ニューマンの瑞々しい演技が正当に評価された出世作の、男の成長をテーマにした勝負師の世界」ハスラー Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ポール・ニューマンの瑞々しい演技が正当に評価された出世作の、男の成長をテーマにした勝負師の世界

2022年1月29日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、TV地上波

1974年 6月6日  地上波テレビ
PM11時05分より土曜ロードショー「ハスラー」見学。アメリカ、1962年度、ロバート・ロッセン監督52歳の第10作品目。ロッセン監督作品の最高傑作と謂われる。これは初めて聴く監督名。主演は「暴力脱獄」の演技で、その魅力に取り憑かれたポール・ニューマン。この作品でアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされる。4度目の候補作品「暴力脱獄」より好感持てる名演技。共演のパイパー・ローリーは、エリザベス・テーラーの雰囲気に似て可愛らしく、確かな演技力を持つ女優さん。この映画は、ニューマンの好敵手になるハスラーの貫禄と渋さを持つジャッキー・グリースンと非情な賭博師ジョージ・C・スコットの二人の男と対決するニューマンの勝負の世界と、恋人ローリーとの恋愛を通して主人公が一人の人間として成長していく姿を描いた秀作だった。ドラマティックにして瑞々しい人生ドラマに感動する。見応えにも満足。そして、モノクロ映像の美しさも印象に残る。   採点☆☆☆☆★

テレビで見学した映画の印象を記録した最初の記念映画。劇場映画は前年の12月から始めていたものの、日本語の吹き替えやフレーム処理と編集カットされたテレビ放映の映画を批評するのは抵抗があった。しかし、この映画の感動をどうしても残したくなり、結局その後社会人になるまでの数年間続けることになる。邦画洋画合わせて約580本。
今回完全な形で47年振りに観ることが出来て幸せだった。真剣に映画と対峙していた頃の自分に戻ることで、その時の未熟さや無知さを想い出してしまう。映画は、改めてロッセン監督の演出が素晴らしいと感心した。ユージン・シャフタンの撮影も印象より更に素晴らしいものだったし、ポール・ニューマンは勿論のこと、ジャッキー・グリースンの心技体が整った伝説のビリヤード・プレイヤーのなり切りがやっぱりいい。パイパー・ローリーは、その後1976年の「キャリー」でカムバックした時には驚いた。この映画の影ある破滅型のヒロイン像の儚さが印象的だったからだが、今見ても演技力の確りした女優の存在感に魅了される。

扱ったテーマは、才能に溺れる若者の心の成長。それは、ハスラーと呼ばれるギャンブラーもスポーツ選手も普通の社会人にも当てはまる、青春期にある怖いもの知らずや自惚れや自信過剰などを自制し、体力と才能に見合った精神力をどう身に付けるかに、人生の豊かさが係っている真理ではないだろうか。ニューマン扮するエディの弱さに共振したサラという女性との恋が、お互いを慰め合うだけの段階で悲劇に転じてしまう不幸が、結局エディの眼を覚ませ男として強くさせている。男が強くなるためには女性の存在が大きい。反対に女性が強くなるためには男は必要ない。そこに男と女の難しさと面白さがある。

Gustav