劇場公開日 1987年4月17日

「嫁姑の関係改善は出来たようでも、今後の生活の変わらぬ繰り返しが予感され…」バウンティフルへの旅 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 嫁姑の関係改善は出来たようでも、今後の生活の変わらぬ繰り返しが予感され…

2025年10月4日
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鑑賞方法:TV地上波

このタイトルを初めて見た時に、
「戦艦バウンティ」関連物かと思った😅位、
全く知らない作品だったが、調べてみたら、
キネマ旬報ベストテンにおいて、
タヴィアーニ兄弟、オリバー・ストーン、
ウディ・アレン作品が、
第1位~第3位に選出された年に、
第14位ながらも、
ベストワンに選出した選考委員が2名もいた点
に興味を引かれ、TV放映を機に初鑑賞した。

なんともしっとりとした展開の
色々な問題をはらんだ作品ではあった。
姑が息子夫婦の賄い婦かのような
まるで嫁が優位に立っているという
現代風の嫁と姑の関係、
必ずしも実際の想いとは一致しない結婚
の現実、
自然と開拓の繰り返しと過疎の問題、
故郷への想いと現実の間(はざま)等々。

でも、そんな中でも主人公は
バスで同乗した若妻、
バス待合所の係員、
保安官、
等々の優しい人々に導かれるように
帰郷して廃屋となった懐かしの我が家を
見ることが出来た。

私個人の経験として、
故郷の生まれ育った我が家を
懐かしんだ数年後に、
売却先の人の手で更地になり、
別の建物に建て変わったことを見届けた時の
自分の過去の記憶の一部が消え去って行って
しまったような寂寥感が思い出された。

この作品の主人公も、
荒れ果てた我が家を見た時、
どんな想いであったのだろうか。
そんなことも含め、それなりに
考えさせる要素は盛り沢山なので、
最後まで観る上での集中は失われなかった。
しかし、何故か自らは働くことなく
義母の年金を当てにする口うるさい嫁は
それなりに義母を気遣う人間像だが、
終盤に二人の関係改善は出来たようには
描かれるものの、
私には、今後の毎日の生活においては
結局は同じ繰り返しを予感させられるばかり
で、主人公のあの世へのお土産話が出来た
だけのようなこの物語に
どう対峙したら良いのか分からなかった。

一部の方には支持されたようではあるが、
私的には、しっとり感はあるものの、
人物描写が十分ではなく、
また、メリハリ感の弱い作風に
少し印象の弱い作品だった。

KENZO一級建築士事務所
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