灰とダイヤモンドのレビュー・感想・評価
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ワイダ監督の代表的作品に鑑賞回数を重ねるほどに評価が高まり…
この作品は、1959年のキネマ旬報ベストテン
において、「十二人の怒れる男」に次いで、
第2位に選ばれると共に、
過去のオールタイムベストテンでは
第13位や第16位に選出されている
名作中の名作だが、
初めての鑑賞ではその所以をほとんど
理解力出来ていなかったような記憶がある。
しかし、その後、他のワイダ作品に
接っしてきたこともあり、徐々にその理由が
分かってきたようにも感じる。
マチェクがサングラスをしているのが、
ワイダ監督作品の「地下水道」に繋がる
レジスタンス活動のせいだったとか、
彼が、間違って殺害した2人の残像に
どこまでも追いかけられること等、
幾つかのすっかりと忘れていた要素を
確認出来たことに加え、改めて感じたのは、
どちら側に組したかに関わらず、
双方の陣営の祖国への想いへの理解や、
更には、実はそれぞれの人間関係が近かった
との前提を設け、
それらを当時の国家分断を強調する要素に
していたようにも感じる
ワイダ監督の演出だった。
また、ワイダ監督は、
ドイツ降伏に伴う祝宴を
退廃的であたかも葬儀のように描き、
間接的手法で巧妙に
ソ連支配を批判したようにも思えた。
そして、ラストシーンのゴミの中での
マチェクの死は、
神に見放されたと思われるような
逆さキリスト像の場面同様、
彼が同志に語った、
普通に生きたい、普通に恋もしたい、
との想いを、
共産主義体制でもたらされる
人間として大切なものの要素の死の象徴
として描こうしたのではなかったろうか。
アンジェイ・ワイダ監督「抵抗三部作」の第3作目
初見は高田馬場ACTミニシアター(1980年11月27日)、42年ぶりに鑑賞。
アンジェイ・ワイダ監督「抵抗3部作」の第3作目🎥
1945年5月、ドイツ降伏直後のポーランド地方都市で抵抗組織の一人の若者が「戦いか安泰か」の迷いに苦悩する姿を描いた傑作!
仲間と共にマチェク(ズビグニエフ・チブルスキー)は銃を持って、誰かの車が通るのを待ち伏せしていた。そして、やって来た車に乗った男たちを射殺するところから始まる。
彼等が狙ったのはシュチューカ委員長なる人物だったが、間違って労働者を射殺してしまった。そのため、市長主催の戦勝パーティに来るシュチューカ委員長を殺すため、パーティ会場のホテルに部屋をとるマチェク。
そんな状況でマチェクはバーの美人給仕クリスティーナ(エヴァ・クジイジェフスカ)に声をかけ、クリスティーナは「恋愛ざたは別れがつらいからイヤだ…」と言いながらも、二人は愛し合う。
マチェクは、「一兵士として任務を全うするか?」or「クリスティーナと一緒に平和な暮らしをするか?」の選択に苦悩するのだが……。
マチェクとクリスティーナが屋外で会話する場面は、この映画を紹介する記事に良く使われるが、二人の間に「逆さづりのキリスト像」が映されており、これが鮮烈なメッセージ性を持った構図。
アンジェイ・ワイダ監督の大傑作!
二十歳ぐらいの時はわからなかった。
ある程度年齢を重ねて戦争についての知識をえてイメージが出来上がってくると初めてこの映画が分かるようになった。これはドイツとロシアと言う大国の間に挟まれた国の人々のとある重大の日の出来事を描いている群像劇であった。最初っから群像劇だと思ってみないと肩透かしのようになってしまう映画かもしれない。映画というものは何も見る人を感動に導くとだけが映画ではない。このようなことを描き、このようなことを表現し、世界の人々に知ってもい共感してもらうのもまた映画というものであろう。
ポーランドのジェームスディーン
灰とダイヤモンドを観ましたが。
1958年の映画ですね。でも、監督は1945 年五月六日ドイツが無条件降伏をした日を描いていますね。ナチスから解放されただけでなく、スターリン共産党の介入でポーランドは踏んだり蹴ったりされていますね。そのような状態の中での希望として描いたのがこの二人の純愛だったんでしょうね。ワルシャワ(?)が灰のように荒涼となっているが、二人の愛は輝くダイヤモンド(複数)。でも、殺し屋の結末は!この作品の結末から、私はポーランドの将来、アイデンティティが全く見えないんです。ポーランドはロシアの占領下に置かれ、国民はシベリア方面に奴隷に出されたりするんですからね。
反ナチ、反ソ連の組織の中で冷静だったはずのマチェック。どちらにこ...
反ナチ、反ソ連の組織の中で冷静だったはずのマチェック。どちらにころんでも帝国主義国家の支配下に置かれるという状況下では、何が正しいかさえもわからないし、とにかくテロ組織に入れば居心地が良かったのであろう。戦争終結という知らせに戸惑いながらも、工場で罪もない二人を誤殺してしまったと知ったときもクールだった。
「生き方を変えたい」と苦悩する余裕などなかった地下活動時代。ようやく人間らしく生きる目的を見出せるきっかけを生んだのはクリスティーナの出現だ。いつの時代も、若者の心を変えるのは恋なのか・・・
終盤で、目的を果たしたときの花火の美しさとゴミ捨て場での凄惨な死・・・まさしく灰とダイアモンドを表現しているのだが、どことなく日本のヤクザ映画にも通ずるものがあると感じてしまった。この映画だけでは高評価できず、3部作全てを観たくなった。
アンジェイ・ワイダ作品初鑑賞。 今の時代に観ても面白いとは言えませ...
アンジェイ・ワイダ作品初鑑賞。
今の時代に観ても面白いとは言えませんが、印象的なシーンは多数有ります。
テロリズムを批判した作品と解釈しました。
傑作中の傑作
学生時代にアンジェイワイダのブームがあって、その頃観たという記憶はあったが、内容はほとんど覚えていなかった。おそらく、学生時代の僕の知識では映画の背景を理解できなかったと思う。
しかし今見直して、あらゆる面で傑作だと思う。そもそも1958年のポーランドでこのような映画が撮れたということが信じられない。
ストーリーも映像も役者も、そして音楽も素晴らしい。例えばエンディング前のダンスのシーン、英雄ポロネーズが調子外れの音階で演奏されるなかダンスが踊られるが、それはまるで葬送の踊りのようであり、幻想につながっていく。1945年5月、ヨーロッパにおける戦争終結という祝祭の中で、この映画は1958年のポーランドを表現しているのだ。
有名なラストシーンも女の胸に抱かれて死んでいくような甘い結末にしていないのが素晴らしい。
生涯のベストテンに入れようと思う。
素晴らしい名作
脚本、演技、撮影、演出どれをとっても素晴らしい
まさに名作だ
緊張の糸が途切れずラストまで続く
灰塵の中に燦然と輝くダイヤモンドが残されるという詞からタイトルが取られている
灰塵とは、舞台のポーランドの現状であり、主人公であり、その上官であり、少佐でもあり、もちろん暗殺される共産党の幹部もそうだし、クリスティーナもそうだ
登場人物全てが灰芥のゴミだ
ではダイヤモンドは何か?
それは最後のホテルマンが燦然と輝く朝日の中に広げ掲げ持つポーランドの国旗なのだ
戦争が終わり、これから国家と民族の復興と言うときにゴミくずの争いをやっている
みんな俗物しかいない
本当のことを言うのは外国の酔っ払いの老人記者だけだ
それでも国家は残った
残された人々はこのダイヤモンドを失うことの無いよう、それぞれの立場で努力をすべきなのだ
それが本作のテーマだ
そうでなければ、主人公がゴミらしくゴミ捨て場で野垂れ死にながら聞く、汽車の汽笛のように決して現状の満足いかない国家と民族の境遇からは脱出することはできないのだ
最後に念願がかない本作を午前10時の映画祭の上映で観ることができました
廃盤でレンタルも配信もなく中古DVDも高額で取引されていました
リマスターされ非常に鮮明な映像で堪能することぎでき感謝するばかりです
地下迷宮をさまよった戦士の虚しい最後
他の人のレビューを読むとソ連や共産党を暗に批判している映画と解釈している人が多いようだけど、俺はこの映画は素直に武力抵抗の愚かさ、虚しさ、残酷さを伝えたかったんだと思うよ。もちろん監督はドイツと同じ位ソ連にも憤りを感じているでしょう。『世代』『地下水道』を観た時点ではワイダ監督が武力抵抗に対してどういうスタンスか判断しかねていましたが、この作品で確信しましたね。監督自身のレジスタンス活動経験も踏まえて、愚かな行為だったと伝えたいのだと。
映画の途中で反政府勢力の禿の少佐が言う、地下水道で多くの犠牲を払いながら戦って、戦が終わってみれば国はソ連に支配されいて、自分たちの国を作ろうと戦ってきた我々の立場を守るには戦い続けるしかない、という意味合いのセリフ。大半の国民が戦より安定を選んでいる中で、意地や面子にこだわり続けて戦い続けることを選択する、そんな狂気性があのセリフに詰まっていたと思う。彼らの創る世界には場末のバーでの小さな恋の存在も許されないのです。
ラストのシーツが赤く染まるシーン、とても印象的。モノクロだから黒く見えている筈の赤が、鮮明な赤に見えた。
そしてマチェクが死ぬ場所も。民族の誇りをかけて戦った男の死に場所としてふさわしいだろうか?
晩秋恒例のポーランド映画祭。今回は劇場を変えて、シネマート新宿に...
晩秋恒例のポーランド映画祭。今回は劇場を変えて、シネマート新宿にて開催。シアター・イメージフォーラムの小ぶりなキャパではとうてい収まらないであろう客数で、会場を変更した理由が分かるような気がした。
今年の監督特集は、亡くなったばかりのアンジェイ・ワイダ。残念ながらスケジュールの都合で観ることができたのはこの「灰とダイヤモンド」一本のみ。
観る者の登場人物への感情移入をここまでコントロールするとは。政治的な検閲があった時代のシナリオと演出の知恵に脱帽である。
この作品、おそらく当局の検閲がフィルムの最初のほうだけに限られる傾向を逆手にとってはいまいか。
主人公たちが小型トラックに乗ってきた者たちを銃撃するテロリズムのシークエンスが、どうしようもなく安っぽいアクションにしか見えない。しかもどうやら主人公らしいのが、サングラスしたニヒルな感じのする、共感しにくい男なのだ。芝居も雑なら編集も雑。これからつまらないスパイ/テロリストの話が始まるようにしか思えない。
これを見た検閲係は下らないB級娯楽映画だと思って、最後までは見なかったのではないだろうか。そう思えるくらいに、冒頭はダサい。
しかし、酒場の女と恋に落ち、彼女とベッドに横たわるアップのカットが見事。「第三の男」でオーソン・ウェルズが登場したときのように、陰影に富み人間の皮膚の温度や湿度を感じさせる。このような素晴らしいカットの積み重ねを経て、ごみの山のラストではしっかりと観客の心をつかんでいる。
技術的、文化的、政治的な制約のほとんどない昨今のCG全開の映画と同列には論じて欲しくない。制作された時代と場所、題材とされた歴史を理解して、その価値を感じたい人類の遺産的作品である。
虫ケラのよう。
1945年5月8日、ポーランド。
身を投じた運動、組織の一員としての個人。
ふとした瞬間に惹かれあい、恋を知る、私としての個人。
時代と場所という、逃れられない檻に囚われざるを得ない人間が、選択し得る未来とは?
登場人物の葛藤を自身に置き換えて考えたとき、私達はどのような選択を?そして、その結末や如何に。
普通の人にはつまらないです。要注意!!
ヨーロッパ系の名作は、全部ではないけれど、よくわからなくて、つまらないものが多いような気がします。
この映画も有名で、名作と言われているので、見てみたけど、眠くて眠くてしょうがなかった。
名作と言われていなければ、すぐ見るのやめたんだけど、とりあえず最後まで頑張って見ようと思い、3日ぐらいかけて分割して見た。
でも結局わけがわからず、つまらなかった。
時間の無駄だったような気がする。
この映画、反共テロリストが共産主義者の大物を暗殺する話らしいんだけど、暗殺の方に重点を置いて、緊張感を高めていけばすごく面白くなるのに、そこはサラッと流している。
そのかわり、当時のポーランドの政治情勢に翻弄される人々を重視して描いています。(そっちかよ?と突っ込みたくなった)
この映画、今となっては、当時のポーランドに詳しい人か、研究している人、あるいは映画関係者(視覚効果はすごい)ぐらいしか面白いと思える人いないんじゃないのかな?
自由を求めて、火花をちらし戦った灰の中にはダイヤモンドがあった、というのがテーマらしいけど、その後の政治情勢など考えると、灰の中には灰しかなかったんじゃないのかな?
*その後「大理石の男」も見てしまったけど、これはもっとわけがわからず、つまらないです。パスすることをお勧めします。
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