バーニング・ムーンのレビュー・感想・評価
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自宅にて鑑賞。独産、日本劇場未公開作。“聖ペテルセン精神病院”脱走から始まるサイコものの「ジュリアの恋」、敬虔な神父の裏の顔と冤罪をかけられた者の復讐を描くスーパー・ナチュラルものの「純潔」と云う二つのエピソードから成るオムニバス作。一昔前のTVドラマの様な鮮明なビデオ画質と違和感溢れるアフレコの科白。冒頭から混乱しており、無駄なシーンが多く、ゴア描写にのみ尽力されている。緊迫感の無い前後の繋がりが変な展開、妙なリアクションを連発し演技下手な演者のファッションに至る迄、目も当てられない。20/100点。
・幼少期の体験が後の異常性に起因すると云う描写が各エピソードに共通する。ただ定石をなぞるだけの薄っぺらいストーリーは、余分なシーンがアチラコチラに挿入されている割に、破綻していると云う生易しいレベルではなくグロい描写を無理矢理繋ぐ為のみ最低限必要なもののみで構成されている印象があり、物語としての深みや趣が全く無い。今回、採点した大部分はゴア描写が稼いでいるに過ぎない。
・何とも中途半端な「ジュリアの恋」でのゴア・シーンは、首チョンパや指・腕等切断する所謂“切り株”系が圧倒的に多いが、目玉を飲み込ませる等よく判らないのもある。悪魔を崇拝する神父の行く末の方が気になる「純潔」では、廃墟の様な場所での生首が転がる地獄絵図の描写が延々と続き、作り手の撮りたかったものがストレートに伝わる。ただ余程の酔狂か別の観方でも出来ない限り、鑑賞に耐ええない。
・監督のO.インテンバッハは、脚本、照明、特殊効果、視覚効果からスタント迄こなしている。更にブリッジとなるエピソードでは、月が燃える幻覚を見る程のシャブ中の割に太った“ピーター”役で、「純潔」では拷問を続ける役で出演している。尚、「ジュリアの恋」で帰宅時、A.シグレクナー演じる“(ジュリアの)父親”が観ているのは、監督の処女作『Black Past('89)』である。
・余りのグロテスクさや暴力賛美と受け取れる内容から本国ドイツでは、製作された翌年の'93年からノーカット・オリジナル版の上映・公開・販売は禁止されており、レーティングの設定もされていない(恐らくこの処遇は、このテの製作陣側にとって、一種の勲章であろう)。我国日本でも'16年現在、廃盤となったVHSビデオ発売のみに留まっている。
・鑑賞日:2016年3月17日(日)
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