「ハリウッドスターと一般男性の有り得ないラブ・コメディを成立させた脚本・演出・演技、いい仕事してます」ノッティングヒルの恋人 Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
ハリウッドスターと一般男性の有り得ないラブ・コメディを成立させた脚本・演出・演技、いい仕事してます
ジュリア・ロバーツのハリウッドスター・アナを演じる等身大の役柄の無理のない役作りが、彼女の飾らない美しさを表現している。対して、ヒュー・グラントのしがない書店主ウィリアムの一寸侘しい男姿が奇麗に結び付くところが良いし、面白い。誰でも考え付きそうな甘い話の、また実際演じてみれば現実離れした白々しさに陥る危険性を孕んでいると思われるが、このふたりの個性で物語が纏まっているのは流石だと思う。脚本・演出含めて、いい仕事してますね、と言いたい。ウィリアムの同居人スパイクを変人の芸術家にした人物設定のスパイスが効いている。また、ウィリアムの友人ベラ家族の生活に密着した視点が生かされた描写もいい。特別な関係を育むふたりを囲む人たちの生活感ある背景がしっかりしている。映画的には、進入禁止の柵を超えるところのふたりの描写が巧い。そして、ラストは「ローマの休日」のオマージュのような記者会見の場面でクライマックスを構築する映画愛に魅せられて、個人的には大変満足のイギリス映画になった。本当に暫くぶりの清潔な恋愛映画の佳作である。
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