ノーマ・ジーンとマリリン
劇場公開日:1997年12月13日
解説
世紀の女優、マリリン・モンローの生涯を、本名のノーマ・ジーンとスターのマリリン・モンローの二つの人格に分け、二人一役による演出で綴った異色作。監督はイギリスはBBCの俊英ティム・フェイウェル。製作はガイ・ライデル、脚本はジル・アイザック、撮影はジョン・トーマス、音楽はクリストファー・ヤング、美術はシンシア・ケイ・シャーレット、編集はグレン・ファー、衣裳はハ・ニュイエン。主演は、モンローに「ロミーとミッシェルの場合」のミラ・ソルヴィーノ、ノーマ・ジーンに「評決のとき」のアシュレイ・ジャッド。映画界および政界の実在の人物が多数登場するのも見もの。なお、本来テレビ映画として製作されたが、日本では劇場公開した。
1996年製作/113分/アメリカ
原題または英題:Norma Jean and Marilyn
配給:エース ピクチャーズ
劇場公開日:1997年12月13日
ストーリー
「裸って素敵!」ノーマ・ジーン(アシュレイ・ジャッド)の大胆発言に、俳優志願のエディ・ジョーダン(ジョシュ・チャールズ)は驚いた。1926年6月1日、マリリン・モンローはノーマ・ジーンとして、グラディス・ベイカーの私生児として生まれた。映画編集者だった母は33年に精神病院に入院。母の同僚のグレース・マッキーが後見人となるが、彼女の夫ドックがノーマに手を出したため、彼女は孤児院に入れられた。孤独な彼女のなぐさめは映画だけだった。42年、16歳でジム・ドアティーと結婚したが、海軍にいた夫は海外赴任していて、彼女の孤独は慰められない。45年、19歳のノーマはモデルとして活動を始めた。46年ドアティーと離婚。赤毛をブロンドに染めたのはこの頃だ。同じ年、二本の映画にチョイ役で出演。生活費を稼ぐためヌードモデルにもなった。映画女優になりたいノーマは、ウィリアムス・モリス・エージェンシーの副社長ジョニー・ハイド(ロン・リフキン)と親しくなる。ハイドは彼女にソフィスティケートされたセンスを身につけさせるとともに、鼻の整形手術などをさせて、女優マリリン・モンロー(ミラ・ソルヴィーノ)として生まれ変わらせた。ハイドはさらに彼女を20世紀フォックスのスクーラス社長やプロデューサーのダリル・ザナック(ジョン・ルービンシュタイン)に売り込み、50年、7年間の契約を結ばせた。ハイドはマリリンに求婚したが、「愛しているけど、夢中にはなれない」と彼女は断った。同年、「イヴの総て」ので人気を集めた彼女は、映画出演が相次ぐ。53年、「ナイアガラ」で初主演、続いて「紳士は金髪がお好き」でジェーン・ラッセルと共演が決まる。だが、そんな成功をつかんだ彼女の前にノーマが現れ、「あなたは女優にも母親にもなれない」と告げる。恋人とも別れ、現場では公私ともに演技指導のナターシャ・ライテス(リンゼイ・クルーズ)に頼り切り。撮影現場でもナターシャが「カット!」と声をかけ、監督のハワード・ホークス(ハワード・プラット)は激怒。54年1月。マリリンはニューヨーク・ヤンキースのスター選手、ジョー・ディマジオ(ピーター・ドブソン)と結婚。だが、同じ年の10月に二人は離婚。ディマジオは「七年目の浮気」のマリリンのまくり上がるスカートが許せなかった。久しぶりにマリリンに会ったエディは彼女が薬に頼っている事実に驚く。「オツムの弱いブロンド娘」のタイプキャストにうんざりしていた彼女は、自身で製作プロを設立、リー・ストラスバーグ(ダナ・ゴールドストーン)主宰のアクターズ・スタジオにも通ったりした。56年、劇作家アーサー・ミラー(デイヴィッド・デュークス)と結婚。だが、この結婚も幸せは続かない。たびたびのノーマの幻影が、「自分も母親のように精神病になるかも」という不安をかきたてた。さらに、待望の赤ちゃんは流産してしまい、コメディ「お熱いのがお好き」(59)の撮影中だった彼女の憔悴ぶりは目をひいた。「荒馬と女」(61)の脚本はミラーが書いたが、マリリンは「あなたも私がバカな女だと思ってる」と怒る。彼女にはヒロインの性格が気に入らなかった。彼女は精神医にかかるようになる。60年11月、ミラーと離婚。マリリンは鬱状態になった。そんな彼女が最後に夢見たのは、交際が始まった大統領ジョン・F・ケネディ(ピーター・スティーヴンス)のファースト・レディになること。だが、62年5月、大統領の誕生パーティーで「ハッピーバースデイ」を歌ったマリリンを、フォックスは「撮影をすっぽかした」とクビに。マスコミの過剰報道で大統領とも会えなくなり、最後の頼みの綱だった弟ロバート・ケネディ(スティーヴン・カルプ)とも連絡が取れなくなった。絶望のマリリンの前に現れるノーマ。マリリンはその幻影を振り払おうと睡眠薬を大量に飲む……62年8月4日、マリリン・モンローは死体で発見された。享年36歳。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ティム・ファイウェル
- 脚本
- ジル・アイザックス
- 製作
- ガイ・リーデル
- 撮影
- トム・クリューガ
- 美術
- シンシア・ケイ・シャーロッテ
- 音楽
- クリストファー・ヤング
- 編集
- グレン・ファー
- 衣装デザイン
- ハー・ヌウィン
- 字幕
- 菊地浩司
-
Norma Jean Bakerアシュレイ・ジャッド
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Marilyn Monroeミラ・ソルビノ
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Eddie Jordanジョシュ・チャールズ
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Johnny Hydeロン・リフキン
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Natasha Lytessリンゼイ・クローズ
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Arthur Millerデビッド・デュークス
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Joe DiMaggioピーター・ドブソン
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Fred Kargerテイラー・ニコルズ
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Darryl Zanuckジョン・ルビンスタイン
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Billy Wilderアラン・コーデュナー
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Lee Strasbergダナ・ゴールドストーン
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Bette Davisナンシー・リネハン・チャールズ
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Montgomery Cliftジェフリー・コムズ
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Jane Russellエリカ・ナン
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Howard Hawksハワード・プラット
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Ted Lewisサム・シャムシャク
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Peter Lawfordピーター・サンズ
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John F. Kennedyピーター・スティーヴンス
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Robert Kennedyスティーブン・カルプ