野いちごのレビュー・感想・評価
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人生の最後に自分人生に価値が無かったと思い知らされる恐怖
人間は誰もが『価値がある人生』を送ってその一生を終えたいと思っている。
それは『自分の育てた家族』であったり『社会に対する貢献』であったり『常人では成し遂げられない偉業』であったり、その形は人それぞれではあるが『価値ある人生』とは一夕一朝で成せるものではない
それを成し遂げる為の階段を毎日一段一段登ってゆく地道な日々の積み重ねなのだ。
努力を重ね、成長と反省を繰り返し、日々の積み重ねを成し遂げた者だけが『価値ある人生』を終える事ができる。
しかし、人生が終盤に近づき自分の人生を振り返った時、今まで積み重ねた日々が『間違っていた』『勘違いしていた』ことに気付いてしまったとしたらどうだろう?
それに勝る絶望は無いのではないだろうか。
立派に成長し、自分の事を尊敬してくれていると思いこんでいた子供の愛情が実は勘違いだった…
共に人生を過ごした愛すべき伴侶から本当は愛されていなかった…
この映画は人生の黄昏に差し掛かった老人が何十年と信じ続けてきた『自分の人生の価値』が本当はハリボテのイミテーションであったと思い知らされる地獄巡りの旅を描いた映画です。
傲慢の罪に対する罰は『孤独』恐ろしい、恐ろしい、物語…
しかし、この映画は絶望だけでは無く最後に微かな希望を残して終わります。
人生、『もう間に合わ無い』なんて事は無い、これから、今すぐにでも自分の生き方を見つめ直し、他人の為に『すべき事を成せ』
時間を戻すことは出来ないけれど、自分のあるがままを受け入れてゆく事はできる
そうすれば笑って人生を終える事もできるんじゃないか?
…僕にはこの映画がそう呟いているように感じました。
スウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマンの1957年製作の作品ですが、そのメッセージ性は古びる事なく、今も人の価値観を揺さぶる名作だと思います、お薦めです!
ワシにはまだ早い
デヴィッドリンチやイニャリトゥ、フェリーニなど、多くの映画作家に影響を与えた作品として知られているため鑑賞。
モノクロの映像が美しい、って所までは行った。笑
カメラは殆どフィックスだけどたまにドリーとかある。時代柄というのもあるけど、変にカメラを動かさないから、役者の配置とかに集中出来るんだろう。照明や構図などバチッと決まってるなぁという印象。
物語自体は、おれにはまだ早いかな…
老人が今までの人生を振り返り、自分の誤りに気付き、最後に改まって人に親切にする、という…
まだ20代のワシには早すぎるのぉ。
あのSF作品の元ネタがこんなところに
回想、夢、旅の途中で出会う人々。三つの次元で老人の物語が語られる。
最初の夢のシーンの印象は強烈。誰もいない街路に、樹木と街灯の影が横たわっている。そのうち街灯の影はカメラが動いても形や長さを変えない。これは街灯に陽が当たって形作られた陰ではなく、実際にはセットの書割に描かれた絵である。この効果は大きく、モノクロの映像で非現実的な雰囲気を出すことに貢献している。
また、ラストの授賞式のシークエンス。荘厳なファンファーレが鳴り響き、ホールに厳粛な雰囲気が満ちる。主人公を囲む人々の晴れやかな表情。老人がおのれの人生への評価を、否定的なものから変化させていくシーン。似たようなシーンを30年後の作品で観た。ジョージ・ルーカスの「スター・ウォーズ」第一作のラストの元ネタは恐らくこの授賞式であろう。
21世紀に入っても、映画が描く人間には大きな変化はない。探せばもっとほかにも元ネタがあるのかも知れないが、そんなことよりも、ベルイマンの描く人間の姿を凝視したい。
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