劇場公開日 1958年11月15日

「人生は永遠の輪廻転生」ニューヨークの顔役 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0人生は永遠の輪廻転生

2020年5月15日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 時代は1911年から始まり、孤児院に引き取られた男の子フランキー・ケーンの物語がスタートする。この主人公はドリュー・バリモアの父親ジョン・ドリュー・バリモア。演技なんかも結構いけてる俳優なのだが、泥酔とか暴力事件とかでろくな人生を歩んでいない。彼の父親もアルコール中毒、娘も色々あったし、かなり波乱万丈な家族。この映画にしても生まれてから死ぬまでの主人公を演じているので、本人を投影したような作品となった気がする。

 大恐慌の最中、孤児だったフランキーは政治家の息子マーティ・キャベル(S・マックィーン)とボクシングを通じて親友となり、キャベル家のメイドのジュリー恋仲になる。街の顔役でもあるシルク・フェネリに憧れ、狙撃にあったシルクを助けたことから信頼を得るのだが、母親がユダヤ人であることが判明してカトリック孤児院から追い出されてしまう。

 月日は流れ、浮浪者同然となっていたフランキーがトラックに撥ねられ、マーティが病院で金を渡したことから友情復活か?と思ったが、フランキーは借金を返すためにシルクの元へと急ぐのだ。その律義さにほれ込みシルクの部下となったフランキー。シルクの愛人がジュリーだったということにも驚かず・・・まぁ、憧れのギャングのボスだからしょうがない・・・といった感じでした。

 ところが、ギャング家業にも慣れてきたフランキーは権力を欲し、やがてシルクの上に立つまで成長し、新聞をも賑わせる大物となっていった。そして、皮肉なことに親友マーティは弁護士から州検察官となっていて・・・

 暗黒街の人生観。マーティン・スコセッシが描くと、もっとドロドロになり残酷シーンも満載になるのだろうけど、案外アッサリ気味で恋愛や友情をメインとした白黒作品となっています。懸命に自首を勧めるマーティと、覇権交代の暗黒街を熟知するフランキー。ギャング映画の基本ともいうべきストーリーだが、輪廻転生という宗教的な運命をも描いている。

kossy