にがい米のレビュー・感想・評価
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田植えと「ブギ」
この監督の「オリーブの下に平和はない」を観たので
評価の高い、こちらも観てみました
「オリーブ」は山岳での羊飼いとオリーブ摘みを描いていて
荒涼とした地域と人々の心が感じられたが
こちらは田植えの話で泥にまみれて働く女たちと
ドロドロになってゆく男女関係を描いていて
人間臭くて面白かった、です
マンガーノの足腰(太腿かな?)の力強さに感じられる
生命力みたいなものがヴァローネ、ガスマンにもみられ
映像に更なるパワーを与えているようでした
ヴィットリオ・ガスマンが歌舞伎でいう
〈色悪〉みたいな感じでねっとりと
女をたらし込んでいきますね
ブギでシルヴァーナ(マンガーノ)と踊り、息をあわせてゆく…
彼の危うい魅力と踊りのスリルみたいなものも描かれていました
ラストは季節労働者である女たちの〈米の女王〉への哀悼と
〈女の過ち〉への深い同情と理解を表しているようだった
正気に戻るフランチェスカ(ダウリング)を演じているのが
アメリカ女優というのもなんか面白かったです
イタリアの戦後みたいなものが伝わってきました
「にがい米」の紹介グラビアは必ずシルヴァーナ・マンガーノ!
野性的でグラマラスと紹介される
シルヴァーナ・マンガーノだが、
かつて私が観たのは
パゾリーニの「アポロンの地獄」や
ヴィスコンティの各作品などでの、
どちらかと言うと敗退的ムードの彼女
だった。しかし、彼女の若さ爆発的この作品
をついに観ることが出来た。
しかし、この映画でまず驚かされるのは、
冒頭での田植えシーンだ。
日本では家族やせいぜい一族単位での耕作
を思い浮かべるが、
イタリアでの出稼ぎ労働者による
この集団耕作は、
戦後期の一時的な対応だったのだろうか。
また、ソフィア・ローレンの映画を通して、
何となくイタリア女性のたくましさを
目の当たりしてきたが、
この作品でも同様に感じさせられた。
さて、この作品での
若いシルヴァーナ・マンガーノだが、
目元等にしっかりと後年の映画での
彼女と同じ面影を確認出来たのは
嬉しい限り。
話は、相当な悪の男性と発展途上の女性が
出会った悲劇とのありがちな内容で、
その悲劇への展開も平板の域の範疇内。
また、彼女のこの作品でのウエイトも1/4か、
せいぜい1/2なのだが、
あたかも「にがい米」は
“シルヴァーナ・マンガーノの映画”
のごとく紹介される位の彼女の肉体的存在感
を確認出来た鑑賞となった。
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