「エジプト観光PRミステリー」ナイル殺人事件(1978) つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
エジプト観光PRミステリー
「オリエント急行殺人事件」は事件の真実が衝撃的なタイプの作品だったけど、こちらはもっとちゃんとしたミステリーでした。ポアロが真相を語る前にポアロと同じ結論に達することができるだけの情報が全て揃っていたのがいいよね。
最後の最後に明かされていなかった秘密がありましたみたいな、謎を解くことが不可能な似非ミステリーとは違う。
だけどそのせいで、奇抜さや衝撃なんかはほぼ皆無な、謎は解けなくても犯人はわかるよねというくらいベタで面白みのない決着でありました。
これはまあ、動機の究明に重きをおいている現代ミステリーとは違って古い作品だから仕方ないね。
見所はあるけど色々と無難すぎて、思ったほど面白くなかったわけだけど、理由としては、前半部分が登場人物の紹介と、のちに被害者になる人物を殺害する可能性の説明と、エジプト観光に費やされて、始まってから60分後くらいまで事件が起こらないことだと思うのね。
明らかにこの人が被害者だろうなと思っている人がいても、なかなか死なないものだから、もしかしたら別の人が死ぬのかもなんて、無駄な事を考えてしまったよ。
とりあえず事件が起きてくれないと推理もなにもないからね。早く死んでもらわないと困る。
それで考えてみたんだけど、ミステリーよりもエジプトというロケーションを楽しむ作品だったのかもしれないと思ったね。
今ならあらゆる方法で好きにエジプトを見ることができるけど、本作は70年代の作品だからね。当時はこれを観てエジプトに想いを馳せたりしたのかなと思う。
ピラミッドに登っちゃうシーンは、ちょっとしたビックリポイントだったしね。他には「トランスフォーマーリベンジ」くらいしか思い付かないもの。
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