「初めて「俳優」で映画を見てみたくなった」ナイトメアー・ビフォア・クリスマス 因果さんの映画レビュー(感想・評価)
初めて「俳優」で映画を見てみたくなった
とにかくこのジャックという男は本当に魅力的ですね。並みいる俳優が束になってかかっても太刀打ちできない。人当たりが良く紳士的でちょっとお調子者で…嫌いになれというほうが難しい。
内面はもちろんのこと、ビジュアルも卓越している。顔ちっさ!身体細っ!足長っ!フランス人でもこんな奴いないだろというレベルのモデル体型だ。ちなみに蜘蛛をモチーフとしているらしい。
私は基本的に俳優で映画を選ばないタイプなので、こういう「この人カッコいい(カワイイ)!もっと動いてるとこ見たい!」みたいな体験は貴重だ。なるほど、俳優で見る映画を決定している人々というのはいつもこういう気持ちなんだな。ジャックが横断的に他作品にも出張しまくっているのだとしたら片っ端から見ていきたいと思った。
ジャックがサンディ・クローズの格好で人間界に現れたときの彼の屈託なく嬉しそうな表情とか、マジでたまんねえっすよね…そのあと軍隊に撃墜されて落ち込んでる顔も可哀想すぎて愛おしい。
キャラ造形のみならず、物語の結末も他に類を見ないトリッキーさを有していた。「他者の気持ちに寄り添って今度こそ人間たちを喜ばせよう!」的なよくある教訓譚に落とし込むのかと思いきや「僕なりにまあ頑張ったよね。でも人には向き不向きがあるもんね。僕は僕の得意なことやったほうがいいなやっぱ」と自己完結して元の「カボチャ王」に戻るという、プラスなんだかマイナスなんだかよくわからない地点に着地する。
まあでも確かに普段から生首だの棺桶だの物騒な話題で盛り上がってるような世界でいきなり人道主義のお説教が幅を利かせはじめたらそれはそれで気味が悪い。子供向けというフォーマットのために物語を安易に差し出さなかったのは普通にメッチャ偉い。それゆえ現在、古典としての普遍性を獲得できているのだと思うし。
あーそれにしてもマジでカッコいいなジャック。また暴れ回ってくれないかな。