劇場公開日 1984年2月18日

「オリジナルのテレビシリーズの雰囲気を残しつつ現代的にリファインされており、充分に楽しめます」トワイライトゾーン 超次元の体験 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0オリジナルのテレビシリーズの雰囲気を残しつつ現代的にリファインされており、充分に楽しめます

2021年8月1日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1959年10月から米国で放送された白黒作品の「トワイライトゾーン」というSF テレビシリーズがありました
それが本作の元祖です

5年も続いた超人気かつ有名コンテンツです
1話完結もので、扱う内容はXファイルの最初のシーズンみたいな不思議ネタばかりで156本も放送されました
Xファイルはこれの90年代版みたいなものです

日本でも最初「未知の世界」その後「ミステリーゾーン」という題名で1960年から1967年まで放送されていました
日本では152話放送されたそうです

1963年にも米国で放送された、白黒作品のSFテレビシリーズ「アウターリミッツ」という番組があり良く混同されます
内容は殆ど同じです
有名な「これはあなたのテレビの故障ではありません…」というナレーションはこちらの方です
日本では1964年から「空想科学劇場 アウターリミッツ」、1966年からは「空想科学映画 ウルトラゾーン」という題名で放送されました
全部で49話あり日本でも全話放送されたようです

つまりウルトラQとウルトラマンが放映されていた頃、これらの海外のSFシリーズも放送されていたのです
庵野秀明さんなどオタク第1世代の方々は、幼少期にこれらを観て育って来ているのです
彼らのSFの素養の一番下層の基礎になっているはずです
アニメや特撮だけではないのです

YouTubeでどれも簡単に視ることが可能です
オタクなら、古典ですから一般教養としてチラッとでも視ておくべきものです

タモリの「世にも不思議な物語」はこのシリーズの内容を真似た日本オリジナルのシリーズになります

というか、円谷英二の「ウルトラQ 」はこのトワイライトゾーンのテレビシリーズを参考にしたものなのは明らかです
考えてみれば、ウルトラQのテーマ曲とトワイライトゾーンのテーマ曲の出だしがなんとなく似ています

マンハッタントランスファーという男女4人組のジャズコーラスグループが「Twilight Zone/Twilight Tone」という曲を1980年に大ヒットさせています

もとは1979年10月発売の彼らのアルバムの1曲で、翌1980年の4月にシングルカットされて世界的大ヒットになったものです
このグループはこの曲のヒットでブレイクしました
来日公演も頻繁にあり、サントリーのブランデーVSOP のCM にも登場しています

もちろん曲は、このテレビシリーズのオリジナルのテーマ曲とナレーションをモチーフにしたものです
ディスコ調にアレンジしてあり6分もあります
テレビシリーズ放映20年記念の企画ものだったのかも?

ここで注意して頂きたいのは、本作の映画は1983年6月米国公開ということです

つまりこの曲の方が3年半程早いのです!
映画の方が後なんです
この曲の大ヒットで、本作の製作の企画が始まったのかも知れません

本作の特徴的なテーマ曲とナレーションはもちろんテレビシリーズ由来ですが、このマンハッタントランスファーのディスコ調にリファインされたものを踏襲しています

さて本作ですが、オリジナルのテレビシリーズの雰囲気を残しつつ現代的にリファインされており、充分に楽しめます

第1話が、なにやら2021年の日本に必要な内容になっています
グローバル化は日本人も当事者であるということをハッキリさせています
もちろん監督のジョン・ランディスはユダヤ人だそうです
日本人がホロコーストをお笑いネタにする事の意味の重大さ
軽率さの域を遥かに超えていることを再確認できます

この第1話の撮影中の1982年7月に主演のヴィック・モローの他子役2人までも巻き込んだヘリコプターによる死亡事故が起こった事は有名

本当の結末は彼が人種差別していた東洋人の子供2人を助けたことで悪夢からやっと目覚めると言うものだったとのこと
このシーンは事故により無くなってしまい、お話は家畜用貨車にナチに載せられてユダヤ人達と共に何処ともなく送られていく救いのない暗澹たるもので終わっています

その他の3話はオリジナルテレビシリーズであったお話のリメイクだそうです

エピローグの救急車のシーンは冒頭のCCR の「ミッドナイト・スペシャル」がまた掛かるという憎いもの
この曲は1969年のヒット曲
もちろん曲名から選ばれたものでしょう
てもこの曲は刑務所にぶち込まれた黒人が早くここから抜け出たいという内容の歌です
悪夢の牢獄から抜け出してくれという意味にもなっているのです

プロローグとエピローグはどちらもジョン・ランディス監督によるものだそうです

あき240
地元コアネタまるさんさんのコメント
2021年8月6日

あき240さん、私のレビューを見てくれて、ありがとうございます。この映画を語ってくれてうれしいです。
この映画はどの話も味があっていいですよね。
私は「キック・ザ・カーン!」の話が好きです。最後に意固地だったおじいさんが目覚めて、息子達が訪ねて来るところ。。泣けてきます。

地元コアネタまるさん