「20年以上を経ての再見」トレインスポッティング しろさんの映画レビュー(感想・評価)
20年以上を経ての再見
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実は20年以上前の初見時は、あまりの汚さに耐えられずシーツの場面で鑑賞を中断していた。
今回改めて見直して気づいたのは「イギリスの荒廃」を描いた映画だということ。
サッチャリズムの「小さな政府」政策や行き過ぎた資本主義により次々と閉鎖された国営企業と福祉のカット。
街には失業者が溢れ社会全体に漂う閉塞感の中、希望のない若者が向かうところは酒とセックスとドラッグという刹那的な快楽だけ。
本作の日本公開時、「キムタクがこの映画のTシャツを着てた」とか「渋谷ではこの映画のTシャツやサントラCDが流行ってる」とかそういう表層的なことばかりが話題になっていたが、当時のイギリスの若者の絶望にどれだけの人が気づいていただろうか。
本サイトに限らず他の映画レビューサイトでも「お洒落でクールなストリートライフ」みたいに語られる本作だが、現実は悲惨だということ。
そう考えればなかなかの佳作とも言えるが、赤ん坊の死がどうしても嫌悪感を拭えないためこの評価。
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