劇場公開日 1970年9月25日

「眠れる獅子を起こしてしまった!!」トラ・トラ・トラ! 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5眠れる獅子を起こしてしまった!!

2022年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

タイトルの言葉は、山本五十六が、真珠湾攻撃終了直後に
呟いた言葉です。
この映画「トラトラトラ」1970年作品。
監督はリチャード・フライシャー。枡田利雄。深作欣二。
黒澤明の監督降板が話題になった。
(黒澤は、ノンクレジットながら、日本語版のベースとなったのは黒澤の脚本
であるそうだ)

映画は真珠湾奇襲攻撃を仕掛けた1941年12月8日の真実を
日米に半々の視点、出演者もほぼ半々。
日米どちらかの視点に加担せず、淡々と事実に沿っている。

少し真珠湾攻撃に至った当時の日本について考えてみました。
その理由は夏にローランド・エメリッヒ監督の『ミッドウェイ』を
観たのが大きいです。
この映画の冒頭が正に「真珠湾攻撃」だったのです。
私は「真珠湾攻撃」に付いて殆ど知らなかったのです。
凄いスペクタルな戦争映像で、素晴らしいと言うと語弊があります。
しかし戦争スペクタルとしては、高揚する華やかさでした。(また語弊がありますが、)

《これは当時のアメリカ人にとって、9・11に匹敵する衝撃だったろう・・・》
それが、一番最初に感じたことです。

ハワイは当時アメリカ軍が太平洋に持つ最重要基地だった。
そこを奇襲する作戦・・・ハワイ基地を壊滅的に破壊する、そして半年か一年で
戦争を終わらせることが出来れば日本に勝機はある・・・
これが山本五十六の目論見だった。
しかし奇襲の成功は結果として「ミッドウェイ」の負けに繋がり、
《眠れる獅子を起こしてしまった・・・》
結果に繋がる。
アメリカは真珠湾攻撃の《100倍返し》イヤ、1000倍返しになって帰ってきた。

①真珠湾奇襲にいたるの日本側の要因
一番は、米国の対日経済制裁・・・です。
(鉄鋼や石油などの多くが禁輸となっていた・・・これは日本の中国への侵略を
杞憂する措置だった)

②真珠湾攻撃の日本側の布陣。
ハワイ近海に空母6隻。
そこからと飛び立った航空機は400機にのぼる規模。

③米国の損害。
死者、軍人だけで2334名。民間人含めると2700名。
映画にもある通り、米国は航空機を1箇所に固めて留めていた。
沈没艦は戦艦アリゾナ、オクラホマ、ユタ、ウエストバージニア他多数。
航空機は200機以上。

攻撃映像の凄まじさは、一大スペクタルですが、逃げ惑う米兵を見ると・・・
こりゃあ、恨みを買うだろう・・・と素直に思います。

④暗号文の意味、
ニイタカヤマノボレ1208
これは、
12月8日(1941年です)にハワイ基地を攻撃せよ、
の意味。
トラトラトラ、
は、奇襲成功せり、
の意味。

⑤米国の暗号解読機、
日本側の米国大使などへの重要連絡事項は米国の暗号解読機で即座に日本語に直され、
それを通訳が英語に直ちに翻訳する。
これほど日本の作戦を熟知しながら、米国は何をしていたのだ?

⑥米国の本心。
米国首脳は実は日本の真珠湾攻撃を予知して、待っていた・・・
こう言う発言があります。
《先に仕掛けさせるのだ・・・それからゆっくり叩き潰せばいいのだ》

一方では日本が奇襲するのは知っていたが、まさかハワイではなく、フィリピンだと思っていた・・・との説も、あります。

⑦結論。
真珠湾攻撃の先制パンチは見事に成功したのですが、半年や一年で勝利をもぎ取ることが出来なかった日本軍は泥沼の負け戦を1945年夏まで続けて、結果的には広島、長崎に原子爆弾を投下されてしまいます。
開戦の代償はあまりに大きかった。

映画「トラトラトラ」ははじめにも書きましたが、日米両国に重きを平等に置く
記録的側面を持つ映画です。

映像が美しく、ハワイ基地も素晴らしく、CGに頼らぬ爆撃場面に驚嘆する映画でした。
その後の敗戦までの道のりを曲がりなりにも知る者として、
実に大きなターニングポイントだったと思います。

琥珀糖
マサシさんのコメント
2022年12月16日

申し訳ありません。この映画の僕のレビューは文章が破天しています。実は『我が闘争』に日本人の事を劣等民族と罵る文章があるのてすが、日本の軍部がそれを知ったら、日独伊三国同盟は成立せず、日本には他の運命が待っていたといつも考えていまして、変な文章になってしまいました。それなのに共感いただきありがとうございます。

ロシアが負けると、ウクライナにいるロシア人が、今度はウクライナになると思います。

自国民を守った軍隊って歴史的にもありません、軍隊って侵略する側の軍隊の事です。

自衛隊があることに異議申し立てはしませんが、大きな力を持った自衛隊がクーデターを起こした時が怖いんです。

マサシ
マサシさんのコメント
2022年12月16日

アメリカは寝ていませんでしたし、ある意味でベトナム戦争の『トンキン湾事件』や日中戦争の『盧溝橋事件』見たいなものだと思います。
日付変更線の解釈はありますが、ジョン・レノンの命日と重なるのが、平和が程遠いとこの季節になるといつも思います。現状を考えると。

マサシ