トラ・トラ・トラ!

劇場公開日:

解説

太平洋戦争の火ぶたを切った真珠湾奇襲作戦の全貌を描いた大型戦争映画。製作総指揮はダリル・F・ザナック、製作は「ブルー・マックス」のエルモ・ウィリアムス。監督は、アメリカ側が「ミクロの決死圏」のリチャード・フライシャー、日本側が「スパルタ教育・くたばれ親父」の舛田利雄と「きみが若者なら」の深作欣二。ゴードン・W・プランゲの「トラ・トラ・トラ!」とラディスラス・ファラーゴの「破られた封印」を基に、アメリカ側はラリー・フォレスター、日本側は菊島隆三と小国英雄が共同脚色。撮影は「ゲバラ!」のチャールズ・ウィーラー、日本側は「戦争と人間」の姫田真佐久、東映の古谷伸、「眠れる美女」の佐藤昌道などが参加。音楽は「パットン大戦車軍団」のジェリー・ゴールドスミス、美術はジャック・マーティン・スミスとリチャード・デイ、日本側は村木与四郎と川島泰造。特殊効果はL・B・アボットとアート・クルイックシャンク、編集はジェームズ・E・ニューマン、ペンブローク・J・ヘリング、井上親弥がそれぞれ担当。出演はアメリカ側が「ナタリーの朝」のマーティン・バルサム、「華やかな情事」のジョセフ・コットン、「レマゲン鉄橋」のE・G・マーシャル、「裸足のイサドラ」のジェーソン・ロバーズ、「砲艦サンパブロ」のマコ以下、ジェームズ・ウィットモア、キース・アンデス、エドワード・アンドリュース、ジョージ・マクレディ、エドモン・ライアンなど164 名。日本側は山村聡、三橋達也、田村高広、東野英治郎、島田正吾、千田是也、宇佐美淳也、内田朝雄、十朱久雄、安部徹、野々村潔以下155 名。デラックスカラー、パナビジョン70ミリ。1970年作品。

1970年製作/アメリカ
原題:Tora!Tora!Tora!
配給:20世紀フォックス

ストーリー

1939年9月1日、山本五十六中将(山村聡)の連合艦隊司令長官の就任式が、瀬戸内海に停泊中の、「長門」艦上でおこなわれた。それから1週間とたたないうちに、時の首相近衛公爵(千田是也)が閣議を開き、アメリカの日本に対する経済封鎖を討議し、それに対して陸相東条英機(内田朝雄)は、アメリカへの攻撃を進言。41年1月24日、ワシントンの海軍情報部は日本の暗号無電を解読し、事態の容易ならないことを察知した。そして、ルーズベルト大統領は新たにキンメル提督(マーティン・バルサム)を太平洋艦隊司令長官に任命、日本の動勢に備えようとした。41年2月、山本長官は第1航空隊の大西参謀(安部徹)から真珠湾攻撃の参考意見を聞き、空母「赤城」の名パイロット源田中佐(三橋達也)の名を知った。そのころ真珠湾では、航空隊のベリンジャー中将(エドモン・ライアン)が、キンメルに日本の真珠湾攻撃の可能性を説いていた。41年4月24日、野村駐米大使(島田正吾)はハル国務長官(ジョージ・マクレディ)と、緊迫した両国の関係を打開しようとしたが、ハルゼイ中将(ジェームズ・ウィットモア)等、海軍側の強硬意見にあい、実を結ばなかった。やがて両国間の通商条約は破棄され、スターク海軍作戦部長(エドワード・アンドリュース)は、ハワイを非常時態勢下においた。そのハワイでは、日本のスパイ吉川猛夫(マコ)が、情報収集のため暗躍していた。41年10月、東条英機が陸相兼首相となり、軍部の権力は頂点に達した。一方、アメリカ側の情報部は、真珠湾攻撃の決行日を想定し、スチムソン陸軍長官(ジョセフ・コットン)は大統領にそれを伝えることを約し、またマーシャル大将(キース・アンデス)もハワイのショート将軍(ジェイソン・ロバーズ)やキンメル提督に、警告を発していた。12月2日、ハワイへ向け進航中の、南雲司令官(東野英治郎)の第一航空艦隊は、山本長官から「ニイタカヤマノボレ」という暗号を電受した。いよいよ真珠湾攻撃の時が来た。12月7日、東郷外相(野々村潔)は駐日大使の天皇拝謁を助け、局面打開を求めたが、道はすでにふさがれていた。翌12月8日未明、遂に南雲中将の率いる機動部隊は、オアフ島北方から真珠湾に迫り、午前7時57分、淵田少佐(田村高広)を先頭とする戦隊が、空から敵地へ突っこんで行った。真珠湾攻撃は見事な成功をおさめ、「赤城」からは、作戦成功を伝える暗号が打電されていた。「トラ・トラ・トラ!」。(20世紀フォックス配給*2時間30分)

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映画レビュー

3.5陽気でalohaな雰囲気のハワイとはかけ離れた、真珠湾攻撃にまつわる映画

2023年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

alohaと思わず言いたくなる、天国みたいなハワイ。
コロナ禍前は何度も旅行に行っていました。
alohaと気軽に挨拶してくれた地元の人たち。
観光で行っていたとはいえ、出会う人は誰もが優しくて行くたびに幸せな気持ちになれる大切な場所です。

真珠湾攻撃についても、常識の範囲内では知っていました。
「トラ・トラ・トラ!」も観たいと思いつつ、なんとなく勇気が出ずズルズルと今まで来てしまいました。
時間がないとか自分に言い訳をして。
alohaと優しく挨拶してくれるハワイの人々への感情が変わってしまいそうで怖かったんです。
しかしコロナ禍で働き方が変わり、少し時間ができたので思い切って観ました。

映画の前半は開戦に至った軍部と政府の日米の行き違いについて、後半は飛行隊による真珠湾攻撃の様子について描かれていました。
歴史背景をしっかり調査しているそうです。繊細な問題なので、そういうところも素晴らしいなと思いました。
映画が公開されたのは、1970年とCGがない時代です。
しかし迫力満点の映像に思わず見入ってしまいました。
離陸のために地上滑走していたアメリカ軍の戦闘機が、ゼロ戦に破壊されるシーン。ここは本物の戦闘機(模型機)や戦艦と特撮をまじえての撮影で作られたそうです。

そして作戦の成功を示す暗号「トラトラトラ!」。
映画のタイトルにもなったこの言葉が打電され、それを受けた日本軍全員が「万歳!」を唱えている場面。
見ている間、ずっと戦争の悲惨さやこの時代を生きた方々への言葉にできない複雑な感情に思わず泣いてしまいました。
簡単に言葉にしてはいけない、強くそう思いました。
現代を生きる自分が、当時のことを語るのは本当に重いことですね。

alohaと笑顔で挨拶してくれた旅行先で出会った現地の人々。
仲良くなり、一緒に撮影した写真がリビングにあるのですが、今はまっすぐに見ることができません。
観たことを後悔はしていません。日本人として大切なことだと思います。
ただ胸がとても痛いです。

と、感情的なコメントとなってしまいましたが、真珠湾攻撃の全体像を知りたい方には、オススメできる作品です。
淡々と事実を述べているので、お若い方が過去のことを知るという点でも視聴してみるのはとても良いと感じました。

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立花真由美

3.5ガキの頃、トトトラララと読んで父に笑われた記憶、縦に書くなよ(笑)...

2022年8月10日
iPhoneアプリから投稿

ガキの頃、トトトラララと読んで父に笑われた記憶、縦に書くなよ(笑)
長い!開戦までがだるい(笑)歴史マニアなら楽しめるのかもしれない。どこまでが史実なのか。
圧巻は真珠湾攻撃。朝焼けの出陣、編隊。CGなどない時代の本物のド迫力。
黒澤明が監督から外れた(外された)という曰く付き作品、見る価値はあるだろう。

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はむひろみ

4.0山本五十六の『日本はアメリカにとって最強の敵。何故なら、日本人は戦いの為に努力している』

2022年8月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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マサシ

3.5眠れる獅子を起こしてしまった!!

2022年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

タイトルの言葉は、山本五十六が、真珠湾攻撃終了直後に
呟いた言葉です。
この映画「トラトラトラ」1970年作品。
監督はリチャード・フライシャー。枡田利雄。深作欣二。
黒澤明の監督降板が話題になった。
(黒澤は、ノンクレジットながら、日本語版のベースとなったのは黒澤の脚本
であるそうだ)

映画は真珠湾奇襲攻撃を仕掛けた1941年12月8日の真実を
日米に半々の視点、出演者もほぼ半々。
日米どちらかの視点に加担せず、淡々と事実に沿っている。

少し真珠湾攻撃に至った当時の日本について考えてみました。
その理由は夏にローランド・エメリッヒ監督の『ミッドウェイ』を
観たのが大きいです。
この映画の冒頭が正に「真珠湾攻撃」だったのです。
私は「真珠湾攻撃」に付いて殆ど知らなかったのです。
凄いスペクタルな戦争映像で、素晴らしいと言うと語弊があります。
しかし戦争スペクタルとしては、高揚する華やかさでした。(また語弊がありますが、)

《これは当時のアメリカ人にとって、9・11に匹敵する衝撃だったろう・・・》
それが、一番最初に感じたことです。

ハワイは当時アメリカ軍が太平洋に持つ最重要基地だった。
そこを奇襲する作戦・・・ハワイ基地を壊滅的に破壊する、そして半年か一年で
戦争を終わらせることが出来れば日本に勝機はある・・・
これが山本五十六の目論見だった。
しかし奇襲の成功は結果として「ミッドウェイ」の負けに繋がり、
《眠れる獅子を起こしてしまった・・・》
結果に繋がる。
アメリカは真珠湾攻撃の《100倍返し》イヤ、1000倍返しになって帰ってきた。

①真珠湾奇襲にいたるの日本側の要因
一番は、米国の対日経済制裁・・・です。
(鉄鋼や石油などの多くが禁輸となっていた・・・これは日本の中国への侵略を
杞憂する措置だった)

②真珠湾攻撃の日本側の布陣。
ハワイ近海に空母6隻。
そこからと飛び立った航空機は400機にのぼる規模。

③米国の損害。
死者、軍人だけで2334名。民間人含めると2700名。
映画にもある通り、米国は航空機を1箇所に固めて留めていた。
沈没艦は戦艦アリゾナ、オクラホマ、ユタ、ウエストバージニア他多数。
航空機は200機以上。

攻撃映像の凄まじさは、一大スペクタルですが、逃げ惑う米兵を見ると・・・
こりゃあ、恨みを買うだろう・・・と素直に思います。

④暗号文の意味、
ニイタカヤマノボレ1208
これは、
12月8日(1941年です)にハワイ基地を攻撃せよ、
の意味。
トラトラトラ、
は、奇襲成功せり、
の意味。

⑤米国の暗号解読機、
日本側の米国大使などへの重要連絡事項は米国の暗号解読機で即座に日本語に直され、
それを通訳が英語に直ちに翻訳する。
これほど日本の作戦を熟知しながら、米国は何をしていたのだ?

⑥米国の本心。
米国首脳は実は日本の真珠湾攻撃を予知して、待っていた・・・
こう言う発言があります。
《先に仕掛けさせるのだ・・・それからゆっくり叩き潰せばいいのだ》

一方では日本が奇襲するのは知っていたが、まさかハワイではなく、フィリピンだと思っていた・・・との説も、あります。

⑦結論。
真珠湾攻撃の先制パンチは見事に成功したのですが、半年や一年で勝利をもぎ取ることが出来なかった日本軍は泥沼の負け戦を1945年夏まで続けて、結果的には広島、長崎に原子爆弾を投下されてしまいます。
開戦の代償はあまりに大きかった。

映画「トラトラトラ」ははじめにも書きましたが、日米両国に重きを平等に置く
記録的側面を持つ映画です。

映像が美しく、ハワイ基地も素晴らしく、CGに頼らぬ爆撃場面に驚嘆する映画でした。
その後の敗戦までの道のりを曲がりなりにも知る者として、
実に大きなターニングポイントだったと思います。

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琥珀糖
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